コラム
2023年8月23日
弁当給食で重要な視点の「喫食率」を上げるコツ
株式会社日本給食業経営総合研究所(日給研)の代表をしております野間です。
今月は今後より一層重要な経営視点となる「喫食率」についてです。
まず皆様へ質問です。
「自社の納品先における喫食率は把握されていますか?」
喫食率は、納品先の総従業員数に対して何人が自社のお弁当を食べているか?という数値ですが、この数字を把握している会社はごく少数派なのが現実です。売上を伸ばすための議論のほとんどが、新規取引先の獲得に終始しているのです。
喫食率にこだわる給食会社が勝ち残る
皆様ご存知の通り、日本の生産労働人口と併行して、国内の企業数は減少しており、今後もそれが続くことが確実です。2040年までには、現在と比べて企業数が20%以上減少すると予測されています。
従って、1社あたりの取引食数を増やしていかないと、事業の維持・拡大が難しい未来が確実に来ると意味しています。即ち、喫食率が今よりも一層重要な意味を持つ時代が到来するのです。
その未来に対応するため、ターゲットやニーズをシフトした新規事業を始めることが当然になっていますが、今回は既存の弁当給食事業をどうするべきかというテーマに絞ってお伝えします。
弁当給食業界の平均喫食率は20~30%
私たちが持つデータでは、取引先あたりの平均喫食率は全国平均で20~30%です。逆の言い方をすると「70~80%の方は食べていない」ということです。
この「70~80%の食べていない層」を喫食者へ育てることが重要であり、10%以上はどの会社にも伸びしろがあります。
喫食率を上げるためのアクションは下記の手順です。
(1) 全取引先の喫食率を把握する
「どの会社の伸びしろが大きいのか」を基準に優先順位をつけてアプローチを決めていきます。ポテンシャルを把握するためには、わかり易いアンケート用紙を配送スタッフに協力いただき配布することで問題なく集まります。聞くことは「全従業員が何人いるか」「男女比」等です。あまり設問を多くしないこともポイントです。また喫食率が分かることで「この会社にはまだこんなにチャンスがあるんだ!」といったように、ターゲットが明確になることでスタッフのモチベーションが上がるという副次効果もあります。
(2) テストマーケティングの実施
優先ターゲットが決まったら、その取引先に対してアプローチをします。具体的にどのようなアプローチをするべきかを考える際には、基本的な購買行動原則に則って考えると良いでしょう。
例えば、「認知」⇒「検討」⇒「購入」⇒「継続」というプロセス毎に、何を実施するかを検討することがオススメです。
例えば、自社の存在は知られていても、注文方法を知らないから頼んでいないというケースも多いです。
このように売り手側にとっては当然で意識していない、顧客視点は多数あります。是非今こそ既存顧客の理解を深める取り組みに時間を投資してください。喫食率を上げる取り組みは、既存顧客向けの施策なのでコストも多く要しませんし、必ず収益力が上がりますので、未来に向けて迷わず取り組んでいただければと思います。