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給食会社が企業理念を再設定・再定義する重要性

野間 元太

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野間 元太

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いつもコラムをお読みいただきありがとうございます、日本給食業経営総合研究所の野間です。

コロナの影響が継続している中でも、業績を伸ばす給食会社は「今だからできること」を実直に進めています。「すべて自社に関係のある項目」と思いますので、是非参考にしていただければと思います。

すぐにできるコストの見直し

⑴固定費の見直し

⑵ 各セクション生産性の把握と見直し(工場なのIoT 化や配送ルート状況のデジタル化など、生産性のリアルタイム把握)

⑶ アナログ作業の撤廃(勤怠・キャッシュレス・ペーパーレス等)

⑷人員の整理

いわゆる、「※ ECRS」に繋げていく部分です。

このタイミングで、筋肉質な会社にしていくことを実行できるかが、今後の勝ち組企業のポイントになります。企業が悪循環に入るパターンに、「社長が良い人すぎる」というルールがあります。企業体力にあわせた形であれば良いですが、そうでない場合は、人員の整理を決断しなくてはいけないこともあります。順を追って贅肉を削ぐ、もしくは、細い筋肉を太くし、質的に筋肉質な会社にしていくことが重要です。

※ ECRS は、⑴ Eliminate( 排除)、⑵ Combine( 統合)、⑶Rearrange(順序入れ替え)、⑷Simplify(簡素化)の頭文字から取ったものです。その順番に検証していくことで、無駄な業務を減らし、仕事の効率化を図る生産管理現場で業務改善の指針になっている考え方

目を背けることはできない商品力強化

給食業界は、淘汰が進んでおり、本物だけが残る時代に入ってきています。

食事を供給することが本業なので、「良い商品を作ることにどれだけ執着できたか」がポイントです。給食業は、ストックビジネスの側面もあるため、獲得した顧客への手厚さよりも、新規顧客を獲得することを優先する側面が強いことが特徴でした。例えば、新規案件用の試食だけ原価をかけた商品を特別に提供することは、わかりやすいです。しかしながら、労働人口が減る、コロナで企業も個人も支出に敏感になる今は、商品にこだわらないと喫食率が下がり、各納品先の収支が悪化していきます。これは全国どのエリアでも顕著に数字として表れています。

このような背景の中で、伸びている会社は下記の項目を実施しています。

⑴ 残食チェックなど、商品に対する顧客評価の数値化

⑵ ランチ外食市場を取り込むための商品開発会議の設置

⑶コスト合理化と連動した、適正な原価への投資

⑷硬直している仕入れチャネルの再開拓

⑸ 手数や容量を再設計した、容器変更を含む抜本的な商品規格変更

⑹特別メニューの多頻度提案による喫食率アップ

未だ多くの給食業が手つかずの組織力強化

組織の強さは、間違いなく「企業理念への共感度・浸透度に比例」します。また、世代を超えて長く続く企業になることにも「企業理念」が必要不可欠です。企業理念は、その会社の「顧客との約束」であり、「事業を進めていくための羅針盤」でもあります。まれに、社長が「うちの企業理念ってなんだっけ?」ということがありますが、そのようなことがないのは当然のこと、社員に理念を浸透させる働きかけは「持続的に」やるしかありません。

もし「想いなき理念」を設定している場合や、「理念がない」場合は、これを機会に「自社は何のためにこの事業をしているのか?」を再考いただき、企業理念の再設定・再定義を行ってください。

⑴ 企業理念・事業理念の再定義と浸透にむけた時間・費用の投資

⑵ 従業員を定着させることを目的とした、理念をベースとした評価制度の整備

⑶ 社風の再構築(基本的な挨拶ができる社風~社員からどんどん提案がでる社風)

⑷ オンラインコミュニケーションの環境整備と実行(zoomやビジネスチャット)

企業イメージのリブランディング

給食業は、コロナ禍において、飲食業と比べると数字の落ち込みが圧倒的に少なく、むしろ伸びている業態があるほどで、まさに「欠かすことのできない食のインフラ」であることが証明されました。

これは誇るべきことです。一方で、業界全体の歴史の中で作り上げられてきた給食業のブランドイメージは、あまり良い状況とは言えません。給食会社に勤めていることを公言する人が少ないのは、Facebookに自分の勤務先を載せていない人が圧倒的に多い事実がその1 つの証明かと思います。

これだけ必要とされている誇らしい業態なのですから、より良く業界や自社を表現する努力をしていくことが必要です。そのあたりは、給食受託大手のLEOC 様が非常に力を入れており、業界のブランドイメージを牽引しています。

⑴良い商品を供給する会社へのリブランディング

⑵ 良い提案をこちらからする会社へのリブランディング

⑶「商品」を提案する会社から「価値感」を提案する会社へ

⑷ 各ブランドタッチポイントにおける「訴求イメージの一貫性」と「質」の強化

ex) 一枚のチラシデザインの質でブランドイメージは、上りも下がりもする

⑸ 給食業である自社の強みや収益を、理念に共感した社会貢献活動へ参画する

Ex)SDGs

新しい柱とする新規事業への着手

事業を絞り込んでいくことは、高収益化にむけて非常に重要な打ち手となり、最優先されるべきものです。一方で、時流に適応していくために新たな事業を立ち上げる必要があることも事実です。日給研では、給食業に対して、毎年複数の新規事業立ち上げをサポートしています。下記に、直近でおきている、イメージしやすい新規事業参入の切り口を記載します。

⑴ 現在の給食業とつながるスライド市場への新規事業の立ち上げ

Ex)法人向け弁当給食業が、冷凍弁当事業へ
Ex) 法人向け調理済み袋総菜給食会社が、個人に向けた「惣菜通販業」へ

⑵ 現業を「機能」で切り分け、「機能を業態として切り出す」新規事業

Ex) 仕込セクションを「カット野菜メーカー」として新規事業化
Ex) 配達が終了して稼働してない時間帯の車両を利用した「配送業」

⑶給食業とは別の事業へ参入する多角化

Ex) 高級食パン専門店、唐揚げ専門店などのフード系が多い

根強く有る事業承継問題への対策

最後に事業承継についてです。

給食業界において、事業承継が二回目というケースは稀です。したがって、どのように事業承継を進めていくべきなのかの知見をすでに持たれている企業も超少数です。一方で、給食業経営者の平均年齢を加味すると、5 ~ 10 年の間に事業承継を完了させるべき企業が大多数を占めています。そのための準備を、この時期に始められている企業が多数あり、その企業のほとんどは、今までも「未来志向」で先を見据えた経営をされているため、大変業績が良いのが特徴です。

簡単ではありますが、事業承継の準備をされる企業がおこなっている項目を列挙いたします。

⑴事業承継者の選定・育成・経営理念の引継ぎ

⑵事業承継後も事業が成長していけるヴィジョンと計画づくり

⑶現取引先・従業員に安心してもらえる段取り

⑷事業承継のタイミングと相続税・株式対策

⑸事業承継スケジュールの明確化

⑹売却・廃業の場合の準備

最後に、当社では本年も給食業に関する事業承継・M&Aに関するセミナーを開催いたします。詳細は当社ホームページに掲載しますので、ご確認ください。

給食業界の事例を取り上げた事業承継・M&Aのセミナーは、数多くあるものではないのでぜひ参考にしていただければと思います。

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この記事を書いた人

野間 元太

野間 元太

東京都飯田橋にて生を受ける。 東証プライム上場 国内大手コンサルティングファームである株式会社船井総合研究所出身。 これまで日本に存在しなかった「給食業コンサルティング」を立ち上げた業界の第一人者。 地場系企業~大手に至るまでの業界トップの支援先数と成功事例を持ち、 その実績は、TBS「がっちりマンデー」 TV放映や各業界紙での特集を受ける等大きな注目を受けている。 2020年1月には、株式会社日本給食業経営総合研究所として独立し、始動。 企業理念「誇り高き給食業への羅針盤」を胸に、業界を先導する存在として、年間365日全国各地を駆け回っている。

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