いつもコラムをお読みいただきありがとうございます、日本給食業経営総合研究所 給食業経営コンサルタントの井上です。
今回は営業や配送部門を中心に、来期へ向けた準備として、コロナ禍の年末に給食会社が必ず実施すべきことをお話します。
2021年も引き続き、従来の営業はできないと考えるべき
早いもので2020年も残すところ1か月を切りました。コロナ禍における影響は給食業においても甚大なものがありました。新型コロナウイルスに罹患された方、影響を受けられた関係各位の皆さまには心よりお見舞いを申し上げます。
2020年を振り返れば、想うように事業を展開することはできなかった給食会社が多かった状況です。裏を返せば毎日の需要に対するサービスであるため、業態によっては影響が比較的少ない給食業もあったことがわかっています。しかし、撤退や突発の案件を除く、自社努力で業績を伸ばされた企業は少ないことも実態です。それはシンプルにこれまでの営業活動が想うようにできなかったことが要因でした。給食業における営業は、やはり王道の対面型に依存しているケースが多く、営業マン個人の人間性や特徴といった定性面をアピールできる機会の減少に付随して成約数も下降している厳しい状況です。したがって、まだ先の見えないコロナ禍においては、従来の在り方は見直すべきであり、新しい形を構築することが給食業にとっての生き残る鉄則であることがわかります。
コロナ禍の年末において給食会社がすべきこと
結論から言うと、「名簿づくり」と「来期への種まき」です。しかしこれは簡単なことではありません。例えば給食業においてこの名簿が表すものは、ターゲット企業における窓口・決裁権者・委託有無・コスト・委託業者にはじまる営業候補先の情報精査です。自社の注力する業態にとって、営業資源の投入先は選択と集中がなされるべきです。それらを見誤らぬよう、今その名簿を整備できているかどうかがカギとなります。例えば、「名簿は全て営業マンの脳内にある」「一度作ったまま放置」「購入して10年経っている」等々、営業を仕掛ける対象が古いものに業績アップはありません。名簿のリフレッシュができていること、そして売る相手の情報が明確になっていることが2021年の飛躍の材料になるでしょう。
ちなみに現在これらを上手く実践されている給食会社様の事例としては、キャンペーン等が特典として付いたFAXDMを配信し、テレマーケティングによる資料送付の誘導、約束をお取りすることで、ターゲット名・連絡先・ニーズを把握されています。それらを精査し名簿を完成させているという流れです。
続いて「来期への種まき」ですが、既存顧客または見込み客への「電話」および「年賀状」です。ここでアナログな内容だなと想われた方もいらっしゃるかと感じますが、コロナ禍において訪問が難しい状況に対し、自社としてターゲットへどれだけ印象を残せるかがポイントとなります。既存顧客への年末フォローは想像し易いものがありますが、最も重要なのは見込み客です。見込み客が見込み客で在り続けるのには、理由があり、今ではないという意思決定があったからこそ。そのタイミングが来ることが2021年である際には、一番に浮かぶ給食会社が自社でなければなりません。担当の営業を中心にサンキューコールを掛け、改めてヒアリングの抽出(または確認)をし、それらに沿った内容で年賀状を送付することが有効です。
給食会社にとって離脱が多い要因はここにあり、売ったら売りっぱなしのケースが散見されます。この部分を漏れなく実践されている給食会社は少なく、ここで1つ抜きん出るホスピタリティを磨くことができます。思い返していただければ、かつて他社からの乗り換えを相談されたのが自社であっただろうに、その流れをみすみす他社にまた渡すことなど言語道断なわけです。
勿論年賀状送ることが目的ではなく、心からの感謝と来るべきタイミングに自社が力になると表現することが望ましい形です。年賀状以外にもそれらを達成できるツールがあればそれでも良し、主体的に相手を想うことやそれらの取り組みが来期への種まきとなることを忘れずに年末を迎えましょう。