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【給食業界の今後】コロナ禍の外食給食化で売上と食数を伸ばせ!

井上 裕基

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井上 裕基

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いつもありがとうございます、給食業経営コンサルタントの井上裕基です。

今回は上半期の業績を踏まえた2022年以降の給食業界の方向性、そして新しい業績アップのチャンスについてお伝えしたいとおもいます。

コロナ禍でも産業給食で業績を伸ばす給食会社

日本給食業経営総合研究所にてお付き合いしている給食会社様からの業績報告では、弁当含めた「事業所給食」は前年比100%を平均としながらも 105%以上の業績推移を図っている企業もあり、基本に忠実かつ創意工夫を持たせた取り組みで、コロナ禍でも売上や食数を伸ばすことに成功しています。同様にコロナ禍で影響をあまり受けなかったシニア向け給食は、「配食サービス」や「施設向け完調品」を中心に、多くの企業で 105%以上の実績で推移されています。

さて成長市場であることと、競合状況に余裕のあるシニア向け給食は、継続してシェアを獲得していくべきところです。しかしここで特に注目しなければならないのは、業績に最も影響を受けた、事業所給食です。ご存知の通り、企業向け・事業所向けの給食はこれまでの市場縮小とコロナショックが掛け合わさりました。そのような中で、前述の通りに事業所給食で業績を伸ばすことに成功している企業も存在しています。一体どのような取り組みをされているのでしょうか。

1軒あたりの食数アップを高めること

まず押さえるべきところは、以下の通りです。これまでのコラムにおいて、コロナ禍で業績を伸ばすために「販促・営業を止めないこと」とお伝えしてきました。そしていよいよもう一つの柱である、既存顧客に対する取り組みをしなければならないタイミングです。

新規顧客を獲得し、継続的にご利用してもらうこと。つまり商品やサービス自体への価値向上から目を背けることはできないというわけです。ここは商品力を高めるテーマとしてまた別途お伝えしますが、今回は「注文数増加への取り組み」について触れていきます。

新規顧客獲得においては、多くのケースで「事業所数」を目標としているところですが、これからメインターゲットとなる事業所数は減少傾向にあり、かつ倍増することはほぼ有り得ません。従って 1軒あたりにお届けする食数を高めていくことにシフトさせる必要があります。

現在全国給食業での 1軒あたり平均お届け食数は、3 ~ 4食を推移しています。これは最初からこの状態ではなく、時間の経過とともに、減少しながらも価格は据え置きで問題を後回しにしてきたツケです。同じ課題に多くの給食会社が悩みながら、これをいよいよ改善するきっかけがコロナと関係しています。

これからは飲食店へ行くことが特別な時代へ

結論から申し上げると、「外食給食化」の流れが今来ています。コロナ禍では、外食や飲食店の利用について、世間の考え方に変化が起きました。簡潔に言うと、外食へお金を使う余裕がこれまでよりも無くなり、飲食店へ行くことが「特別」になるったわけです。

飲食店はこれまでの来店を待つスタイルで売上を得ることは難しくなり、多くの飲食店がデリバリーやテイクアウトといった中食へ参入しました。そこで毎日の食事を担う給食業でも、メニューはじめ商品に変化が起きています。それが今回のメインテーマとなる「特弁」です。これは業界的に、特弁・プレミアム弁当・イベント食といった名称で呼ばれていることもありますが、定番商品や日替わり献立とは別に「季節・暦・地域・高級」など様々な切り口で特別感を出したスポット商品・献立のことを示しています。前述の外食需要の変化から、お届けされる食事で特別感を得たい需要に応えることで、業績を伸ばすことが可能となりました。製造面・物流面・事務面と既にインフラが整う給食業だからこそ実現できる新しい価値の提供です。

当然既存の日配弁当については継続していきますが、これまで注文されていなかった層や注文頻度が少なかった層をプラスに取り込むことで、物流経費はそのままに売上をオンできるようになりました。正直なところ、この特弁企画は多くの給食会社でも実施しています。しかしそれがあまり上手くいっていないのには、明確な理由があります。

それは①企画自体がマンネリしていること②特弁の中身が強くないことです。

単品にも目を向けて専門店レベルのクオリティを

①については、惰性的に実施していることでお客様から飽きられている、もしくはもはや認知されていないケースです。企画段階からご案内のチラシ、注文のプッシュから喫食後のアンケートまでやりきらねば意味を成しません。

②については、その商品自体に魅力がないことです。前述の通り、外食の在り方が変わる中で、特弁に求めるものも変わりました。これまで日替わりに強みを持ってきた給食業ですが、いわゆる単品に目を向けるタイミングが来ました。中途半端なものでは勝てるものではなく、専門店レベルに中身も魅せ方も研究する必要が有るのです。

上記をクリアされている給食会社は全国でも多数出てきており、とある日配 10,000食クラスの給食会社様では、特弁企画のタイミングでは食数が 10%増えています。飽きを来させずに定期で企画実行させることで、早期かつ継続的に業績を伸ばすことが可能となります。参考までに、配食サービスを展開される給食会社様、配食サービス事業者様もこの流れは起きています。特に地方で未だデリバリーが普及していない個人宅のお客様は、根本からこの企画に大いに興味を示す傾向にあります。そしてこれは自社製造のみの話ではなく、タイアップやコラボレーション・仕入れといった形式でも価値提供できるモデルです。

給食業の新しい価値「外食給食化」

日本給食業経営総合研究所ではこの現象を「外食給食化」と表現しており、給食業がまた新たな価値を提供することができる時代がもう来ているとお伝えしています。今ある資源の中で、コロナ過でも業績を伸ばすことに成功している流れをしっかりと掴み、業績アップのきっかけとなれば幸いです。

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この記事を書いた人

井上 裕基

井上 裕基

日本で唯一の給食業専門総合コンサルティング会社でNo.2 を務める。 大手乳製品乳酸菌飲料ヤクルトの販売会社、東証プライム上場 国内コンサルティングファームの船井総合研究所で給食業界の経営コンサルタントを経て独立し現職に至る。 全国に給食会社の顧問先を持ち、専門領域は産業給食/事業所給食/委託給食/介護施設給食/病院給食/配食サービスと給食業全般をカバーする。基本の業績アップから商品開発・新規事業の立ち上げ等、給食会社の成長戦略や戦術構築に加え、病院・介護施設の給食部門に対する業務改善や経営指導を行う実績も保有する。

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