日本給食業経営総合研究所の宮崎です。いつもお読み頂きありがとうございます!今回は、「給食業におけるナーチャリング戦略」をテーマにお届けいたします。
顧客をじっくり育てられる企業が伸びる
近年給食業界は、生き残りをかけた戦いが年々激化しています。特に高齢者施設向け給食では、高齢化に伴い「シニア市場は将来性がある」とされ、数多くの企業が新規参入しています。その結果、今ではレッドオーシャン化が進み、価格やサービスの競争が始まっています。こうした環境で差別化を図る鍵が、ナーチャリング(顧客育成)の視点です。
ナーチャリングとは、見込み顧客に対して段階的に関係を深め、最終的に契約へと導くマーケティング戦略です。単なる瞬発的な営業とは異なり、「育てる」という継続性と戦略性が求められます。
例えば、社員食堂事業では、以下のような顧客接点のシナリオを描くことができます。
1.まずはイベントやSNSで自社を知ってもらう
2.認知のタイミングでLINE友だち登録やInstagramなどのフォロー誘導をする
3.継続的に情報発信・接点を多く持つ
4.興味が強くなり問合せをしたいと思った際に迷わない誘導がある
5. これまでの興味関心データを元に提案する
このように、単発の営業活動で終わらず、関係を継続的に構築することが成果に直結します。接点を戦略的に配置することで、顧客は「必要な情報が、必要なときに届く」感じるようになり、信頼感と購買意欲が高まるのです。
給食業界での生事例
★弁当×LINE×WEB注文
ある給食会社では、毎朝LINEで当日のメニューを写真付きで配信しています。美味しそうな画像とともに、栄養バランスや旬材の解説も加え、「食べたくなる」情報設計がされています。そのままWeb注文ページに遷移できる導線を設けるなど、顧客との直接接点を持ち続けることで売上アップに繋げています。
★介護施設向けパック給食×Instagram
行事食の調理風景や、利用者の感想を投稿をすることで信頼の裏付けとなり、「こんな給食を提供したい」という新規施設の関心を引いています。プロフィールからHPへのリンクを設け、詳細説明やサンプル申込へ繋げています。大切なのは、1媒体・単発の宣伝で終えることなく、タイミング・媒体・情報・誘導先などのナーチャリング戦略を「全体設計すること」です。
顧客育成フロー見直しのステップ
顧客が“探している時”、HPやSNSがすぐ見つかり、情報が整理されていますか?問い合わせしなかった顧客に“もう一度”声をかけられる顧客リストや導線設計はあるでしょうか?
最後に、自社の顧客育成フロー見直しのステップをお伝えします。
1.お客様の検討プロセス
「認知→比較→試食→商談→利用→継続」のプロセスにおいて、現状の接点を整理する。
2.不足しているチャネルやフェーズを洗い出す
「有益か」「タイミングは適切か」「継続的か」という観点で見直してみてください。見込み顧客をリスト化し、顧客との接点を多面的に作ることが重要です。全てをやり切らなければならない今こそ、見直しが必要です。