株式会社日本給食業経営総合研究所【通称:日給研】の代表を務めております、野間元太です。
まず、現状の延長線上にどのような未来が待っているかを提示していきたいと思います。
生き残るためのカギは「単価を上げる」こと
円安が1ドル135円まで進んでいます。この水準は20年ぶりで、食材を海外へ依存する日本では、原価高騰に直結するのはご承知の通りです。ほぼ全ての食材は値上がりし、ガス・電気・ガソリン・重油・軽油といったエネルギーコストも大幅に上昇していきます。このコスト上昇の流れは継続すると予想され、このままで明るい未来を描くことは難しい状況です。
まず給食業としてやるべきことは、「既存商品の値上げ」です。この意思決定をされた弁当給食会社が急速に増えています。日給研がお付き合いさせて頂いている給食会社の90%以上が20円~30円の値上げを完了されました。
しかしながら、このコスト上昇は継続するため、年内にもう一度値上げをしないといけない状況が来ることを想定しておく必要があります。
一方で「値上げ」の話になると、「以前値上げをした時に大きく食数を落としたから躊躇してしまう」といったお声が必ず出ます。このような声が出る給食会社の共通点は、「自社の商品に自信がない」ということです。経営者からこの声が出るということは、営業担当者も同様なマインドであることが多いため、食数を伸ばすことは難しくなります。
参考までに、日給研が関わらせて頂いている企業が値上げをした結果として、今回の平均食数減少率は2%前後でした。
その場合には、今からでも遅くはありませんので、商品力を高める取り組みを進めることが重要です。その方向性としては、アイテム数を絞り込みながら1アイテム入魂型へ移行し、減らしたアイテムの代わりに、500円以上の単価が取れる「専門店を超える唐揚げ」のような単品弁当の付加が第一ステップです。日給研では、売れる単品弁当の開発サポートもさせていただいております。中には、唐揚げグランプリ金賞を獲った事例もあります。
このように少しずつ自社の商品力を高め、ブランディングし、単価を上げていくことも重要です。
「商品ではなく、注文の簡素化ソリューション」を売る
別の角度で、今食数を伸ばしている弁当給食会社が何をしているか、合わせてご紹介いたします。
商品だけではなく「WEB注文ができる便利な会社」「手間を削減してくれる会社」といった、「注文インフラ」という価値を打ち出す戦略です。以前からWEB注文の仕組みはありましたが、どちらかというと、給食会社側の都合で導入をお願いするケースが多かったのですが、現在は「WEB注文に切り替えたいから御社に変えたい」という相手側ニーズによる声が増えています。特に大きい規模の従業員を抱える食数の多い企業に刺さるご提案となります。
一定以上の商品力があれば、 WEB注文システムの導入効果は、新規獲得だけでなく、顧客の囲い込み効果も高く「WEB注文のある企業から、WEB注文のない企業に移行する確率は低く」なります。
まだWEB受注の仕組みがない企業は、ぜひ導入を検討すべきですし、WEB受注の仕組みがある企業は、そこを強みに再度営業を強化することがポイントです。
「モノでなくお悩み解決方法を売る」という考え方が重要です。
弁当給食業のデジタル化は、「給食会社の業務効率化」というテーマで急激に進んでいますが、新規顧客の獲得にも繋がっていることが事実であり、そこに新たなチャンスが生まれてきています。