いつもありがとうございます。日本給食業経営総合研究所 給食業経営コンサルタントの井上です。
今回はシニア配食サービス、高齢者向け弁当宅配についてお伝えさせていただきます。
給食会社が選ぶべきコロナ禍での事業方向性
全国では多くの給食会社が新型コロナウイルスの被害を受けました。特に産業給食・事業所向け給食では弁当と社員食堂ともに出社人数や工場の生産調整等コントロールで、自粛期間中は特に食数や売上の影響は甚大でした。ニュースでは飲食店の影響が多くピックされていましたが、給食業においても厳しい状態であったことは事実です。
現在では自粛からウィズコロナという形で、共存することが求められている時代です。つまりコロナ以前に戻るために努めることがポイントでなく、どのように適応した形で経営していくかを考えることが重要です。
その前提で考えると、企業向けのサービスは在り方を見直すタイミングに来ています。例えば弁当給食の主な顧客である事業所はテレワーク導入にはじまり出社自体を改める方向性があります。そうなると自然に食数売上の影響が出てきます。これは特に都市エリアの事業所向け給食にとっては甚大です。
しかしこれは事業所向け給食自体を否定するものではなく、注力する判断軸がより明確になることを表しています。例えば、撤退の意思決定をされる事業者が既に出てきています。そこへいち早く行動を起こせるように、他社シェアを確実に獲得できる準備を進めておくことが重要です。
経営者はコロナ対応へいち早い事業の選択と集中を
前述の方向性に加えて、事業根本の根強さを再確認する必要があります。今回の主題であるシニア配食サービスは、高齢者個人宅向けに弁当宅配をサービスとして提供する事業です。元々給食業の全市場の中で比べれば落ち着いた領域ですが、コロナの影響は特段受けなかった事業の1つでした。日本給食業経営総合研究所調べでは、主宰する給食経営LABOのアンケートによると、高齢者向け弁当宅配事業の業況は前年比105%にて推移していました。この配食という事業は、毎日利用する需要の元で生まれたサービスであり、売り上げもストック型と安定的な収益を生み易いものとして挙げられます。この事業を1つ持っているかどうかで経営の安定性があるかないかは大きく変わってきます。
弁当給食会社が今からスタートできる高齢者向け弁当宅配
在宅需要はコロナの追い風を受けて更に増しました。元々高齢者市場は拡大してきていた中で、高齢者向け弁当宅配の市場も右肩上がりで成長しています。特に地方においては、需要に対して供給量が未だ足りておらず、事業者を募っているのが実態です。そこで参入すべきと考えるのが、やはり弁当給食会社や仕出し弁当の事業者です。
この配食サービスの主な顧客は、65歳周辺のアクティブシニア層であり、我々と同様の普通食を求められる方々です。日替わりの献立と製造体制を持つ弁当給食会社は、現在の商品群でそのままサービス提供が可能であります。ここ数年高齢者向け弁当宅配事業に参入してきた事業者は、多くがこのモデルでのスタートと拡大でした。また仕出し関連の事業者は、日替わり献立の取得と製造体制の整備で実施可能となっています。
日本給食業経営総合研究所では、参入可否診断も日々承っておりますので参入検討されている給食会社様は、ぜひお問い合わせいください。今回は給食会社による参入ケースの概要について触れました。次回は異業種による参入事例についてもお伝えしていきたいと想います。