株式会社日本給食業経営総合研究所(日給研)副代表の井上裕基です。
今回は、主に介護施設向けに厨房運営受託サービスを展開する給食会社様へ向けた内容です。昨今の原材料高騰、人件費アップの波を受けて、特に地方での給食会社による受託難易度が変わってきました。具体的には、200床以上の大規模施設を除き、特に100床前後の施設では、大幅な管理費改定をせざるを得なく、もっともそれ以下の規模感・収益性の低い施設は、もはや受託テーブルにも乗りません。
セントラルキッチン×省人化サテライト型がマスト
現地調理を継続的に展開するためには、人が必要です。逆を言えば、人が取れなければ拡大はできません。同様に、管理リスクが永遠について回ることも事実です。そのために、人が集まる給食会社で在り続ける意義はこれまで以上に高まり、そして定着させる必要性が当然のように加速しています。一方で、現地の人員をゼロにすることもできません。ただし減らすことは可能です。これにはセントラルキッチン方式であったり、完調品ハイブリッド型であったり、ニュークックチルによる前日セッティング型と多様な方法が開発されました。調理師や職人依存、労働集約型からの一部脱却に適応できるか否かで、淘汰されることも既に地方では特に起きています。いずれの場合にも、仕組み化・省人化が求められ、特に今注目されるのは、セントラルキッチン方式での現地人員を省人化しながら仕組み化する運営方式の導入です。
目の前にある当たり前を収益に変える
給食業の中でも、委託給食が最もサービス精神旺盛かもしれないと感じます。それは、契約や事前の取り交わしに無いことも当然のごとく対応している背景から読み取れました。とはいうものの、以前受託していた給食会社の契約内容を、さも当然の如くそのまま踏襲されられ、それがなければお客様に認めてもらえないといった背景もあると思います。ただ、それを本当にこのままにして良いのでしょうか。とあるお付き合い先の給食会社様では、受託している施設での契約範囲外のサービスを時間集計したところ、月間約50万円程の人件費が余計にかかっていることがわかりました。
・湯沸かし+お茶/麦茶は有料化!
・下膳時間を明確に、超過は請求!
・残食廃棄は施設対応!
・食数変更の期限をしっかり明示!
・欠食は施設負担、追加は割増!
・ソフト食は別途金額を頂戴する!
・補助具は、洗浄とカウントで分担!
・栄養補助食品管理は施設対応!
etc.
それらを受けて、一例ですが、今まで当然の如くやってきた業務を見直せるかどうか再考し、改革することに繋げました。基本的な受託内容に含まれるものは、契約書にしっかりと明記し、定期的な内容更新を行うことが必要です。また施設毎にとうしても変化させなければならないことがあるのも事実なので、それらは柔軟に対応できる「覚書」を交わすことでクリアします。
これらをご覧になって、「これは無理だよ!」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、全てでなくとも良いでしょう。私たち給食業が当然に無償でやってきたことに、値段を付けて良いのです。また実際全てが通るわけでもないと思います。その際には、収益性や人材面から「不採算度×緊急度」もしくは「改革影響度×低難易度」といった優先順位をつけて、ひとつひとつ確実に実施することがポイントです。
委託給食会社こそ電子契約を導入せよ
最近お取引先との契約時、電子契約を求められるケースが増えていませんか。紙で2部印刷、郵送して片方を保管する。給食業でも同様ですね。更新や変更があればまき直しをし、給食業ではそれらを手作業や足を運んで締結するケースが多数です。この精神的なハードルが、契約更新のチャンスを阻んでいるのではないかと考えていました。そういった意味では、給食会社において、外部環境の変化や価格や条件を改定せざるを得ない状況に陥った際に、スムーズに再契約等に運ぶための手法に電子契約は適しています。
業務改善に繋がることは言うまでもなく、それに連なる利益確保の一環に、電子契約の導入を前向きに検討してみはいかがでしょうか。