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【給食経営】介護施設向け配食サービスの顧客離脱が起きる理由

井上 裕基

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井上 裕基

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完全調理済惣菜

日本給食業経営総合研究所 給食業経営コンサルタントの井上です。いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

今回は介護施設向けの給食・配食サービスにおける継続率が伸び悩む理由について、お伝えしていきます。

介護施設のお困りごとは何か?

これまでにも介護施設におけるお食事の課題や問題について触れてきました。「人手不足」「経費圧迫」「衛生対策」「業務改善」と多様に背景があるなかで、それらを解決する手段として給食会社がサービスを提供してきました。主には弁当に始まり、完調品・半調理食材といった袋詰めのお惣菜を湯煎して盛り付ける商材を売り出していくことで、給食会社は案件を獲得し業績も伸ばしてきました。しかしここにきて、給食会社の介護施設向けサービスの離脱が目立つようになってきています。一体介護給食業界に何が起きているのでしょうか?

介護施設の厨房は今本当に人手不足なのか?

大きな枠で考えれば、介護の現場で人手不足は未だ解消されてはいません。しかし介護施設の厨房現場ではどうでしょうか。コロナ禍で働きたいと想う人が増え、仕事を選ぶことができ、環境整備された厨房現場では採用ができている介護施設も多くあります。つまり人手不足をフックとして契約に繋がった施設は、人手不足が解消されたとき、自社と契約を継続するのかどうかが重大な問題となります。

元々は介護施設から外部給食会社への厨房委託に加え、食材・食材キット・弁当・袋惣菜発注は総合して「委託」となります。また全て自前で仕入れから調理にあたる自前給食は全体の4割を占めている状況です。その全体感の中で、給食会社は介護施設のお困りごとを的確に押さえられているでしょうか?そもそも人手不足が引き起こす問題は、食事の安定提供だけではなく、採用費の高騰や現場のストレス、属人的運営の定着など多岐に渡ります。また人手不足になったときに、自社を利用してもらえば良いといった考えではなりません。これは人が辞めてしまう厨房現場に問題があるのではないか?人財が定着することが難しい仕事や労務環境になっていないか?といった本質的な課題抽出と解決策の給食会社からの提案が必要だと考えています。

なくてはならない存在には定量的評価が必要

給食会社を利用することで「現場が楽になった」「満足度が上がった」といった嬉しい声をいただくことは多いですが、実は給食会社としてそれらを経営的な数値で表現できているかどうかは圧倒的に少ないです。つまり自社の商品を利用することで、「人件費が〇〇円削減できた」「残業が〇〇時間減った」「残食率が〇〇%減少した」といった評価を給食会社自ら介護施設に取りに行けていないのが実態です。しかしこれは介護施設・介護事業者において、給食部門の経営数値が押さえられていないことに起因します。

日本給食業経営総合研究所のお付き合い先では、営業時まず課題抽出をする事前に、部門数字を押さえるフローを入れています。これらはすぐに数字が出る施設とそうでないところがはっきりと分かれますが、この時点で導入後の変化を感じてもらえる期待度が増してきます。更に既存顧客施設にも、こういったビフォーアフターを確認してもらう機会を確実に設けるようにしています。給食会社が介護施設に与えた良き影響と成果を経営者にしっかりと数字で把握してもらうためです。これが出来ると介護事業者や経営者は、給食会社との繋がりを絶てなくなります。お互いにwin-winとなる関係は、まさにここにあるわけです。

自社でこういった営業はしてこなかったとご不安な給食会社様もいらっしゃると想いますが、これはしっかりと訓練すれば問題なく実施が可能です。現在も業績を伸ばす給食会社はこれを意図的に組み込み、シフト管理までサービス提供している事例も出てきています。給食業におけるBtoBの代表的な業態として、業績を伸ばすチャンスを確実に押さえていただければ幸いです。

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この記事を書いた人

井上 裕基

井上 裕基

日本で唯一の給食業専門総合コンサルティング会社でNo.2 を務める。 大手乳製品乳酸菌飲料ヤクルトの販売会社、東証プライム上場 国内コンサルティングファームの船井総合研究所で給食業界の経営コンサルタントを経て独立し現職に至る。 全国に給食会社の顧問先を持ち、専門領域は産業給食/事業所給食/委託給食/介護施設給食/病院給食/配食サービスと給食業全般をカバーする。基本の業績アップから商品開発・新規事業の立ち上げ等、給食会社の成長戦略や戦術構築に加え、病院・介護施設の給食部門に対する業務改善や経営指導を行う実績も保有する。

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