
喫食という言葉を耳にしたことはありませんか?給食を提供する施設や給食を作る給食会社にとって、喫食を知ることは非常に大切です。
そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。
- 喫食とはなに?
- 喫食率の計算方法は?
- 喫食率が下がる原因
- 喫食率を上げるためにできること
この記事を読むことで、喫食に対して給食に関わる人たちが取り組むべきことがわかります。ぜひ最後までご覧ください。
なお、「喫食率」は、施設や帳票によって指す数値が異なる場合があります。本記事では、食数を基準にしたものを「食数ベースの利用率」、提供重量を基準にしたものを「重量ベースの喫食率」として区別します。
目次
喫食とは?給食現場での意味
喫食とは、提供された食事を食べること、または食事をとることを指します。給食現場では「喫食者」「喫食数」「喫食量」「喫食状況」のように使われます。
- 喫食者:実際に食事を利用した人
- 喫食数:実際に提供・利用された食事の数
- 喫食量:利用者が実際に食べた量
- 喫食状況:食べた量、残した料理、食事に要した時間などを含む状態
給食運営では、単に「食事をとる」という意味だけでなく、利用実績や摂取状況を把握するための実務用語として使われます。
喫食・摂食・完食・残食の違い
喫食と似た言葉に摂食、完食、残食がありますが、それぞれ異なる意味を持ちます。
| 用語 | 意味 | 給食現場での使用例 |
|---|---|---|
| 喫食 | 提供された食事を実際に食べること | 喫食数、喫食量、喫食率 |
| 摂食 | 食物を体内に取り込む行為 | 摂食状況、摂食機能 |
| 完食 | 提供された食事を残さず食べること | 完食者数、完食率 |
| 残食 | 提供後に食べられず残った食事 | 残食量、残食率 |
なお、「摂食障害」は医学的な疾患名であり、給食における残食や一時的な食欲低下とは区別する必要があります。現場では、確認できた状態に応じて「喫食量の低下」「食欲低下」「摂食・嚥下機能の低下」などの表現を使い分けます。
喫食状況を数値で把握する2つの計算方法
給食現場で喫食状況を数値化する方法には、主に「食数ベースの利用率」と「重量ベースの喫食率」があります。
- 人数に対して食べられた食事数が占める割合(食事の利用数の割合)
- 1回の食事でどの程度の量を食べたかを示す割合(食事全体に対する摂取量の割合)
たとえば、保育の現場では、食事全体に対する摂取量の割合を示す喫食率が重要視されます。これにより、子どもたちが必要なエネルギーをどれだけ摂取しているかを把握できるためです。
また施設や企業の給食で喫食率が高い場合、給食で提供される食事に対する満足度が高いことも示されます。
1.食数ベースの利用率を算出する方法
給食の現場で利用数から喫食率を算出する方法は、以下の通りです。
| 食数ベースの利用率 = (実際に食事を利用した人数 ÷ 施設や学校の給食対象者数)× 100 |
たとえば、ある給食の対象者が100人で、実際に給食を利用した人が80人だった場合、食数ベースの利用率は「80÷100×100=80%」です。
2.提供した給食の重量から算出する方法
提供した給食の重量から喫食率を算出する方法は、次の通りです。
| 残食率 = (食べられなかった給食の重量(g) ÷ 提供された食事の重量(g))× 100 喫食率 = 100% ー 残食率 |
たとえば、提供された給食が500gで、残った食事が50gだった場合、残食率は 50 ÷ 500 × 100 = 10% となります。この場合、喫食率は 100% – 10% = 90% です。学校や保育施設などの子どもへ給食が提供されている場では、この方法で喫食率を算出することが多いです。
喫食率を改善するには、食べにくさと残食の原因を明確にする
喫食率は計算するだけでは改善しません。料理ごとの残食量、食形態別の喫食状況、提供温度、利用者の意見などを記録すると、味、量、見た目、食べやすさ、食事環境のどこに課題があるかを切り分けやすくなります。
日給研では、給食現場のデータをもとに、喫食率と残食率を改善する商品設計・運営方法を支援しています。
喫食状況を把握するために記録したい項目
全体の喫食率だけでは、なぜ食べられていないのかまでは判断できません。
少なくとも次の項目を同じ条件で継続して記録します。
- 提供日、献立、料理区分
- 対象者数、提供食数、欠食数
- 主食・主菜・副菜・汁物ごとの残食量
- 普通食、刻み食、ミキサー食などの食形態別の状況
- 提供時刻、提供温度、食事終了時刻
- 利用者からの意見、職員が気づいた食べにくさ
- 介護・医療施設においては、必要に応じて体重変化や栄養状態を専門家と共有
毎日すべてを細かく測ることが難しい場合は、重点献立や対象フロアを決めて定点観測する方法もあります。記録の負担を増やし過ぎず、改善判断に使える単位を選ぶことが重要です。
喫食率が下がる主な原因
喫食率の低下は、味付けだけで起こるものではありません。原因を次の観点に分けて確認すると、対策を選びやすくなります。
- 献立と嗜好:同じ料理の繰り返し、対象者の年代や地域性と合わない味付け、選択肢の不足
- 量と栄養設計:一律の盛り付け量が多すぎる、少量でも必要な栄養を摂れる工夫が不足している
- 食形態:硬さ、大きさ、とろみなどが利用者の咀嚼・嚥下状態に合っていない
- 提供品質:温かい料理が冷めている、盛り付けが崩れている、調理後から提供までの時間が長い
- 食事環境:食事時間が短い、姿勢や介助方法が合わない、騒音やにおいが気になる
- 体調と個別要因:服薬、口腔状態、疾病、アレルギーなどの影響がある
体調や摂食・嚥下機能が関係する場合は、給食担当者だけで判断せず、医師、管理栄養士、看護師、言語聴覚士などの専門職と連携してください。
残食を減らし喫食率を高める5つの対策

喫食率を上げるには、給食を提供する現場である介護施設や企業・保育施設などと、給食を提供する給食会社の協力が必須です。喫食率を上げるために、以下5点を試してください。
- 栄養士・調理師と喫食状況について確認する
- 提供する給食の味や食事環境の質を高める
- 給食献立にバリエーションを持たせる
- 利用者に声掛けする
- 利用者が子どもの場合は食育に力を入れる
それぞれ解説していきます。
1.栄養士・調理師と喫食状況について確認する
定期的に、栄養士や調理師と喫食状況を確認することが重要です。栄養士や調理師との連携を強化することで、喫食率の向上を図ることができます。
栄養士や調理師は、給食の栄養バランスや味付け、提供方法について専門的な知識を持っています。たとえば子どもたちの残食が多い場合、その原因を分析し、具体的な改善策を講じることが可能です。
調理の工夫や食材の選定など、現場での情報共有は欠かさず行ってください。
2.提供する給食の味や食事環境の質を高める
喫食率を向上させるためには、提供する給食の味や食事環境の質を高めることも効果的です。給食の質が向上すれば、給食利用者は自然と食べる量が増えます。
調味料の工夫や食材の新鮮さを保ったり、食事をする場所の清潔さや雰囲気を改善したりすることが重要です。
3.給食献立にバリエーションを持たせる
献立にバリエーションを持たせ、給食に対して飽きがこないようにしましょう。毎日同じようなメニューでは、給食利用者の食事に対するモチベーション低下につながるためです。
季節の食材を取り入れたり、異なる国の料理を提供することで、バリエーションを広げることができます。また、給食利用者の嗜好やアレルギー対応を考慮したメニュー作りも重要です。
4.利用者に声掛けする
喫食率を上げるためには、利用者への声掛けが非常に効果的です。
特に子どもには有効で、給食の時間に「今日は◯◯が入っているよ、ぜひ食べてみてね」と声をかけることで、利用者の関心を引くことができます。また、食事中に「どう?おいしい?」と尋ねることで、食事に対するポジティブな反応を引き出しやすくなります。
5.利用者が子どもの場合は食育に力を入れる
子どもの場合、食育に力を入れることが喫食率を上げる重要な試みです。食育によって子どもたちに食材の大切さや食事の楽しさを教えることで、自然と食事に対する関心が高まります。
たとえば、野菜の栽培体験や調理実習などで食事を作ることで、料理に興味を持つようになります。また、食べ物の栄養価や食べることの意味を学ぶことで、食事への理解が深まります。
こうした取り組みを通じて、子どもたちは食事を楽しむことを学び、結果として喫食率の向上につながります。
数値を継続して改善するための振り返り方
喫食率を改善するには、測定、原因仮説、変更、再測定を繰り返します。次の流れを月次会議や献立会議に組み込むと、改善を継続しやすくなります。
- 基準となる喫食率・残食率を測定する
- 残食が多い献立、対象者、食形態を特定する
- 原因を一つに絞り、改善策と担当者を決める
- 実施期間と再測定日を決める
- 数値と現場の反応を確認し、継続・修正・中止を判断する
喫食率だけを一律に高めることを目標にすると、提供量を減らして見かけ上の数値を改善するなど、本来の目的から外れる恐れがあります。栄養量、体重変化、利用者満足、原価、厨房負担も合わせて確認することが重要です。
まとめ
本記事では、喫食の意味と、喫食状況を数値で把握する方法、残食が発生する原因、改善の進め方について解説しました。
喫食状況を数値で確認する方法には、対象者数に対する実際の利用者数を示す「食数ベースの利用率」と、提供重量に対する実際の摂取量を示す「重量ベースの喫食率」があります。 数値だけで良し悪しを判断せず、献立、食形態、提供温度、食事環境、利用者の健康状態などを併せて確認することが重要です。
施設側の職員と給食会社が情報を共有し、測定、原因分析、改善、再測定を繰り返しましょう。
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