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セントラルキッチンとは?設備投資するメリット・デメリットや運用のコツ

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日本給食業経営総合研究所

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その他

生産性向上の手法として注目度の高いセントラルキッチン。その概要や設備投資する効果について気になっている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。

  • セントラルキッチンとは?
  • セントラルキッチンを導入するメリット・デメリット
  • セントラルキッチンの調理方法
  • セントラルキッチン導入前の準備
  • セントラルキッチンを運用する際のコツ

セントラルキッチンについて幅広い内容を理解できる内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。

1.セントラルキッチンとは?

セントラルキッチンとは、複数拠点で提供されるメニューを一元的に製造・加工する施設のことです。この仕組みを導入することで、給食事業においても各地に分散していた仕入れ・仕込み・調理を集約することが出来ます。また、飲食チェーン店などは各店舗での調理の手間を大幅に削減し、効率的な運営が可能です。

セントラルキッチンで作られた料理は、冷凍や真空パックなどの方法で保存され、各拠点や店舗に配送されます。今までは拠点ごとにおこなわれていた調理や仕込み作業の負担を軽減し、コストの削減を実現できるのです。

1-1.セントラルキッチンの仕組み

セントラルキッチンでは、まず集められた食材の品質チェックがおこなわれたのち、下ごしらえや調理が進められ、完成した食事は配送の準備が整えられます。その後、順次調理済みの食事が各拠点へと配送され、現場では簡単な仕上げや盛り付けをおこなうだけで提供できる状態となるのです。

セントラルキッチン・現場での工程はそれぞれ以下のようになります。

セントラルキッチンでの主な工程 1.原材料の受け入れと検品
2.食材の下ごしらえ
3.調理と加工
4.配送のための包装(冷凍・チルド・冷蔵)
拠点や店舗など喫食現場での主な工程 1.最終的な仕上げ作業
2.盛り付けと提供準備

 

1-2.セントラルキッチンでの調理に向いている料理

セントラルキッチンでの調理は、「保存が容易で長時間経っても品質が落ちにくい料理」が適しています。たとえば、パンや麺類、カレーやシチューなどのソース類、冷凍が可能なデザート類などです。

また、セントラルキッチンでの調理は大量調理となる事が多く、大量調理においては筑前煮やスープ系などの煮込み料理が味が染みて美味しくなる傾向にあります。

2.セントラルキッチンを導入するメリット

セントラルキッチンを導入するメリットは、以下の4点です。

  • 調理を効率化できる
  • 提供する料理の品質が安定する
  • 調理にかかるコストを下げられる
  • 衛生管理を効率的にできる

一つずつ解説します。

2-1.調理を効率化できる

セントラルキッチンを活用することで、調理作業の効率が高まります。各拠点で行っていた調理作業を一箇所に集約するため、一度に大量の料理を効率よく調理することができるためです。

セントラルキッチンでは作業を細分化して分担することが一般的で、それぞれのスタッフが専門の作業に集中でき、各工程のスピードと正確性が向上します。各店舗での調理時間短縮にもつながり、全体を通してスタッフの負担を軽減することが可能です。

2-2.提供する料理の品質が安定する

セントラルキッチンの導入により、提供される食事の品質が一定に保たれます。

通常の各拠点で調理する方法では、スタッフの技術や設備の違いによって味や品質にばらつきが生じる可能性があります。しかし、セントラルキッチンではすべての食事が同じ場所で作られるため、どの拠点でも同じクオリティの食事を提供することが可能です。

食事の品質が安定することは、ブランドの信頼性を高め、顧客満足度の向上につながります。また、秘伝のレシピや調理技術をセントラルキッチン内で厳重に管理することで、レシピの流出を防ぎ、ブランドの価値を守ることも可能です。

2-3.調理にかかるコストを下げられる

セントラルキッチンを採用することで、調理にかかるコスト削減につながります。食材の一括仕入れが可能となり、大量購入によるコストダウンが期待できるためです。

また、各拠点で必要な調理器具や設備の数を減らすことができ、新規営業所や店舗の開業コストも抑えることもできます。さらに、調理作業のマニュアル化により、人件費を削減できるだけでなく、アルバイトやパートのスタッフでも簡単に作業ができるようになるため、教育コストも低く抑えることが可能です。

2-4.衛生管理を効率的にできる

セントラルキッチンは、調理場所が一箇所のため、衛生基準を統一しやすく、食材の管理や調理の過程での品質チェックがしやすくなります。そのため、食中毒などのリスクを減少させ、食品の安全性を確保することができます。

しかし、すべての調理を一箇所に集めるため、万が一衛生問題が発生した場合はその影響が広範囲に及ぶ可能性があり、徹底した管理体制が求められます。

3.セントラルキッチンを導入するデメリット

一方でセントラルキッチンを自社に導入するデメリットとして、以下の3つが考えられます。

  • 初期投資にコストがかかる
  • ランニングコストがかかる
  • 食材の配送時の品質管理が必要になる

それぞれ見ていきましょう。

3-1.初期投資にコストがかかる

セントラルキッチンの導入には、多額の初期投資が必要です。新しい施設や設備の購入、厨房機器の準備など、多くの初期費用が発生します。

比較的規模が小さなキッチンでも、物件の取得や設備の設置には数百万円単位の投資が必要です。さらに、運搬車や専用の調理器具を一から揃えるとなると、費用はさらに増加します。
初期費用を抑えるためには、居抜き物件を利用するなどの工夫が必要です。

3-1-1.必要な設備の例

セントラルキッチンに初期から導入すべき設備として、以下のようなものが挙げられます。

  • 食材用冷凍冷蔵庫
  • 炊飯器
  • シンク
  • コンロ
  • フライヤー
  • スチームコンベクションオーブン
  • ブラストチラー
  • 調理・作業台

また、冷蔵・冷凍の食事を保管し各拠点へ配送する場合は下記のようなものが必要です。

  • 真空包装機
  • 急速冷凍機
  • 冷凍ストッカー

これらの設備は、食材の保存から調理、包装までの各工程を効率的におこなうために必要不可欠です。

また、配送の頻度によって設備の必要性も変わります。たとえば、毎日配送する場合は、冷蔵庫や冷凍ストッカーの容量を少なくすることができますが、週に数回の配送であれば大容量の冷蔵庫が必要です。さらに、収納スペースが不足する場合には、外部の冷凍冷蔵庫を利用することも検討すべきです。

衛生管理については、以下のような資料を参考にしてください。

参考1:大量調理施設衛生管理マニュアル ( 平 成 9 年 3 月 2 4 日 付 け 衛 食 第 8 5 号 別
参考2:生食発 0616 第 1 号 平成 29 年 6 月 16 日 都道府県知事 各 保健所設置市長 殿 特 別 区 長 厚

3-2.ランニングコストがかかる

セントラルキッチンは、規模に応じてランニングコストも高くなります。(設備の維持費や光熱費、人件費など)
また小規模な拠点数の場合、セントラルキッチンの運営はコストパフォーマンスが悪くなる可能性があります。適切な稼働率を維持するためにも、拠点数と生産量のバランスをしっかりと管理する必要があります。
また、配送コストも考慮する必要があり、近隣の配送業者と連携してコストを抑えることが重要です。

3-3.食材の配送時の品質管理が必要になる

セントラルキッチンから各拠点への食材配送は、品質管理の徹底が求められます。配送中の温度管理や食材の保存方法などです。
急速冷凍を用いることで食材の鮮度を保ったり、真空包装などの方法によって食材が空気に触れないようにしたりといった工夫が必要です。特に、鮮度が重要なサラダや生鮮食品については、各拠点での調理を推奨するなど、柔軟な対応が求められます。

4.セントラルキッチンの調理方法

セントラルキッチンの調理方法は、主に以下の3つです。

  • クックチル
  • クックフリーズ
  • 真空調理法

どのような調理方法なのか、それぞれ解説します。

4-1.調理方法例①クックチル

クックチルは、食品の鮮度と品質を保つための効果的な調理法です。調理後すぐに冷却をおこない、その後さらに短時間で急速冷却することで、細菌の増殖を抑え、食品の安全性を確保します。

具体的には、調理後30分以内に一度冷却し、90分以内に急速冷却を行い、0度〜3度の温度で保存します。提供時には再加熱してからお客様に提供するため、温かい状態で安全な食事提供が可能です。

関連記事:クックチルシステムとは?調理の流れや給食におけるメリット・デメリット

4-2.調理方法例②クックフリーズ

クックフリーズは、食品の長期保存を目的とした調理法です。この方法では、加熱調理後30分以内に食品を凍結し、最終的にはマイナス18度まで冷凍します。これにより、食品の品質と風味を保ちながら、長期間保存することが可能です。
クックチル同様、提供時には再加熱をおこないますが、長期保存に適しているため、季節限定メニューの準備や大量調理の際にも役立ちます。

4-3.調理方法例③真空調理法

真空調理法は、食材の風味を閉じ込め、均一な加熱を実現するための方法です。

食材を調味料とともに真空パックし、その状態で加熱をおこないます。加熱には湯煎器やスチームコンベクションオーブンが使用され、調理後は急速冷却または急速冷凍されます。この方法により、食材の風味や栄養を逃がさず、柔らかく仕上げることが可能です。

特に肉料理や魚料理でその効果が発揮され、レシピ通りの仕上がりを安定して提供できます。

5.セントラルキッチン導入前の準備

セントラルキッチン導入前には、以下3つの準備をおこないましょう。

  • セントラルキッチンが調理で担う範囲を決める
  • 設備や必要な人員を確定する
  • コストを精査する

それぞれ解説します。

5-1.セントラルキッチンが調理で担う範囲を決める

セントラルキッチンがどの範囲までの調理を担当するかを明確にすることは重要です。下処理だけをおこなうのか、最終的な仕上げまでを担当するのかによって、必要な設備や作業内容が大きく変わります。

下処理だけであれば基本的な調理設備で十分ですが、提供直前の仕上げまでおこなう場合には高度な調理機器が必要です。どの範囲をセントラルキッチンでおこなうかは、料理の特性や提供するサービスの質を考慮して決定することが求められます。

5-2.設備や必要な人員を確定する

セントラルキッチンの導入には、必要な設備や人員の確定が不可欠です。効率的に各拠点へ配送するための立地選定や、将来の規模拡大を見越した建物や設備の計画をおこなう必要があります。

また、セントラルキッチンでの作業を担うスタッフと、各拠点で削減できる人員の見直しも同時に実施する必要があります。

5-3.コストを精査する

セントラルキッチンの導入によって得られるコスト削減効果と、新たに発生するコストを比較検討することが大切です。

セントラルキッチンは、拠点数が増えるほど効果を発揮しますが、初期投資が大きいため、慎重な計画が必要です。投資額の回収を急ぐあまり、無理な出店計画を立ててしまうことは避けましょう。

そのため最初は小規模でスタートし、運営が安定した段階で規模を拡大するのが理想的です。

6.セントラルキッチンを上手に立ち上げるコツ

セントラルキッチンの運用をお考えの方向けに、上手に立ち上げるコツを4つご紹介します。

  • スモールスタートから始める
  • 業務をマニュアル化する
  • 給食会社に外注する
  • 専門家に相談する

一つずつ解説していきます。

6-1.スモールスタートから始める

セントラルキッチンの導入を検討する際には、スモールスタートから始めることが効果的です。最初から大規模に展開すると、需要に対して過剰な設備投資となり、リスクが高まります。

まずは小規模で運用を開始し、売上や需要の増加に応じて徐々に規模を拡大することが賢明でしょう。そして運用開始後に得られたノウハウを活かし、設備や作業スペースの改善や拡大をおこなうことで、リスクを抑えつつセントラルキッチンの規模を大きくしていけます。

6-2.業務をマニュアル化する

業務のマニュアル化によって、セントラルキッチンの運営を効率化しましょう。マニュアルを整備することで、経験の浅いスタッフでも安定した品質で作業をおこなえるようになります。
また、正社員だけでなくパートやアルバイトを活用しやすくなり、人件費の削減にもつながります。

6-3.給食会社に外注する

自社で設備投資をしてセントラルキッチンを運営するだけでなく、給食会社への製造委託も拠点毎の生産性を上げる選択肢の一つです。外注すれば、自社で設備や人員を整える必要がなく、初期費用やランニングコストを抑えることができます。

製造委託(OEM=Original Equipment Manufacturing)は大きなロットでしか対応をしてもらえないイメージもあるかもしれませんが、最近では小ロットでの製造にも対応している給食会社が増えており、個人経営の店舗でもセントラルキッチンのメリットを享受できます。

ただし、製造委託には商品の品質低下のリスクも伴うため、外注先の選定時は品質管理にも十分な注意が必要です。

6-4.専門家に相談する

セントラルキッチンの立ち上げや運営にあたっては、専門家の助言を受けることも重要です。専門知識がないまま進めると、計画がうまくいかないリスクがあります。専門家に相談することで、最適な設備や運営方法の提案を受けられるほか、効率的で安全な運営のための指導も受けられるでしょう。

日本給食業経営総合研究所では、セントラルキッチン立ち上げのお手伝いをしております。専門家の意見が聞きたいとお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

7.まとめ

セントラルキッチンとは、複数の拠点で提供されるメニューを一元的に製造・加工する施設のことです。一箇所での調理が可能なので、調理にかかる手間の削減できたり品質を統一できたりといったメリットがあります。

一方で、初期投資やランニングコストがかかることもあり、コストの管理や業務の効率化には特に慎重にならなければなりません。

セントラルキッチンの運営について不安な方は、専門家にアドバイスを求めましょう。

日本給食業経営総合研究所では、その経験と給食業界に専門特化しているという強みを活かして、あなたのビジネスを支援します。給食業務に関するお悩みをお持ちの方は、「日本唯一の」給食業専門総合コンサルティング会社である日本給食業経営総合研究所にぜひご相談ください。

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