株式会社日本給食業経営総合研究所(日給研)の経営コンサルタントの宮崎です。
多くの給食会社様では、深夜・早朝に調理や盛付を開始し、昼過ぎ頃には容器の洗浄部門以外に工場は稼働していないというような場合が多いと思います。給食製造工場が収益を上げるためにまず考えるべきことは、工場の稼働時間を伸ばすことです。12時間稼働でも、24時間稼働でも設備費や固定費は大きく変わらないため、稼働時間を伸ばすことで業績が向上します。実際、全国の給食製造工場では3交代制の勤務で、24時間近く稼働させている工場が増えてきています。産業給食を売上の柱としている地場の給食会社様でも、工場の非稼働時間に売上を付加できるチャンスは、まだまだあるはずですので、今一度考えていただければと思います。
なぜ自社の工場稼働率が上がらないのか
多くの給食会社では、下記図の通り各セクションごとの稼働時間が30%前後となっている場合が多いです。セントラルキッチンの稼働率を高めるためには、各セクションでの稼働率を上げる必要があります。
ではなぜ稼働率が伸びないのかというと、その大きな原因は「納品する時間帯が集中している」からです。もっと簡単に言うと「お昼ごはん」を求めている顧客のみを対象としているため、製造・配送が早朝~昼に集中してしまい、昼以降の残りの時間が非稼働時間となってしまっています。
またこのお昼の時間帯は深夜・早朝と比較すると、人が集まりやすい時間帯です。この時間帯に工場を稼働させる設備を整えることができれば、長時間労働などの従業員の働く環境が改善されます。
新規事業での売上付加を考える
稼働率を大きく伸ばす方法は、現状のメイン客層としている顧客と「別の顧客」を獲得することです。これは多くの場合、新規事業とも言い換えられます。
例えば下記図は、産業給食をメインにしている給食会社の工場稼働時間の図ですが、1日の前半は産業給食の製造・配送をメインにしています。しかし昼以降は、高齢者向けの夕食のお弁当の製造、大手メーカーの夕食宅配のOEM受託、夜中に納品するホテル向けの朝食の製造と、産業給食とは別の業種を受注することで、工場の稼働時間を伸ばしています。
給食業の多角化経営で地域一番店を目指す
特に地方の郊外エリアでは、労働人口が少ないことや、配送されるエリアが限定されていることもあり、商圏の食数規模が限られてしまいます。工場の稼働時間を向上することをきっかけにして、高齢者向け配食サービス、介護施設向けクックチル惣菜事業、冷凍弁当など対応するドメインを増やす多角化経営を視野に入れて、経営していく必要性があります。
ぜひ新規事業、多角化経営での売上付加を目指したい給食業経営者様はご相談ください。