株式会社日本給食業経営総合研究所(日給研)の代表を務めております野間です。
当社は、現在約全国80社の給食会社様のコンサルティングをさせていただいております。さて最近当社のご支援現場で良く出るテーマとして多いのは「単価を適正化し、業界をより上の世界にブランド化する」「止めることを決める」「新規事業参入」「事業の数値化」「WEBマーケティング」ですが、今回は「止めることを決めて実行した細かなコスト削減事例」についてです。
味噌汁の無料提供は止めることができる
味噌汁の無料提供を導入している会社が非常に多く、今までの流れの中で「競合が提供しているからウチも味噌汁を無料で提供している」こういったケースがほとんどです。提供しているほとんどの会社が、本音ではこのサービスをやめたいと思っています。
※無料提供している味噌汁は、お湯で溶かすタイプの小袋型・食缶型・サーバー型の3つに分かれます。
しかし止められない・止めたら契約が終わってしまうかもしれない・他社に切り替えられてしまうかもしれない、それが背景です。そんな中、当社のあるご支援先(食数8,000食/日)で、無料提供の味噌汁をやめることにチャレンジしました。結果としては、全顧客の50%に案内し、全ての会社が了承してくださいました。
実際の実行手順について
ご支援先で営業職の方に営業同行する機会が多いのですが、大半の共通点が「自分が話す時間が長い」です。お客様の潜在ニーズを明確にするためには、お客様のことを理解するヒアリング力が重要です。話すより「聞く」の方が重要性が高いです。下図は実際に同行した商談を録音し文字起こしした一部です。
それでは、どのような手順で味噌汁の無料提供を中止したかの手順についてご紹介します。
結論から言うと、特別なことはしていません。
①テストの実施
まず、いくつかの配送コースの顧客に絞ってテストを実施。顧客の反応を見るためのテストです。この段階で全ての顧客が同意し、離脱も無かったことから全コースへ広げていくというステップで行いました。また、同時並行で小袋型については有料化(100食分を700円で販売)しました。
②大口は訪問してご案内
大口については食缶型での提供が多かった同社ですが、食缶型は「重くて配送が大変」「衛生面の課題」がある提供形態なので、是が非でもやめたい状況でした。しっかりとご訪問し、問題なく全社止めていただくことができました。
③2社以上の納品先についての対応
他社と併配で納品している顧客が当然ありましたので、ここに対しては、全納品業者で訪問し交渉しました。結果は問題なく止めることができました。
この取り組みを通じ、味噌汁を無料提供していたことで発生していた人件費・原価は当然削減され、労働環境面での負荷を軽減することができました。いずれにしても、止める決断には勇気が必要ですし、結果は普段から顧客に対してどのように接してきたかで決まるというのは、値上げと同じですね。