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【クックチルとクックサーブ】両者のメリットやデメリット・違いとは?

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日本給食業経営総合研究所

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給食の調理方式は日々進歩し、現在では様々な選択肢の中から施設にあった調理方式を選べるようになりました。そこでこの記事では、新調理方式として注目度の高いクックチルと、従来の調理方式であるクックサーブについて、以下の内容をそれぞれ解説していきます。

  • クックチルクックサーブの定義
  • クックチルとクックサーブのメリット・デメリット
  • クックチルとクックサーブの違い

記事の後半では、クックチルとクックサーブを組み合わせた調理方式についても解説しています。給食の調理方式について知りたい方はもちろん、介護施設や老人ホーム、社食などで採用する調理方式について検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.クックチルとクックサーブとは?

クックチルとクックサーブとは、給食における調理方式のことです。それぞれどのような定義があるのでしょうか。

1-1.クックチルの定義

効率的で衛生的な調理システムとして注目を集めているクックチルは、調理後の食品を急速に冷却し、一定期間保存した後に再加熱して提供する調理方式です。
以下のような流れで調理が進みます。

  1. 外部のセントラルキッチンにて通常の方法で調理
  2. 30分以内に冷却開始
  3. 90分以内に中心温度3℃以下まで急速冷却後施設へ配送
  4. 施設にて0〜3℃で衛生的に保存(チルド)
  5. 提供時に再加熱し盛り付けして完成

この方法により、調理済み食品を最長5日間(製造日含む)保存することが可能になります。また、大量調理や時間のずれがある複数回の食事提供に特に適しており、労働時間の効率化や食品ロスの削減にも貢献します。

1-2.クックサーブの定義

クックサーブは、古くから採用されている調理システムです。

クックサーブでは、調理後すぐに食事を提供するため、出来立ての味と温かさを楽しめる特徴があります。特に、揚げ物や炒め物など、調理直後の状態が最も美味しい料理に適しています。

一方調理するタイミングの調整が難しく、人手も多く必要となるため、大量調理や時間に余裕がない場面では課題が生じることも。それでも、その場で調理する臨場感や香りの演出など、クックサーブならではの魅力は他の調理システムにはない大きな利点となっています。

2.クックチルとクックサーブのメリット・デメリット


次に、クックチルとクックサーブのメリット・デメリットを見ていきましょう。

2-1.クックチルのメリット・デメリット

クックチルは、給食業界に革新をもたらす調理システムですが、メリットとデメリットを併せ持っています。

クックチルのメリット ・一定期間保存が可能なため、提供直前ではなく事前調理が可能である
・フードロスの改善につながる
・調理スタッフがいなくても食事を提供できる
マニュアル化すれば常に同じ品質の食事を提供できる
クックチルのデメリット ・保管場所を確保する必要がある
・メニューがマンネリ化する可能性がある

クックチルでは再加熱と盛り付けのみで食事を提供できるため、二次汚染のリスクが低く、衛生面での安全性が高いのが特徴です。

一方メニューに制限が生じ、利用者の飽きがきやすいという課題もあります。なお、「ニュークックチル方式」という、食品をチルド状態で盛り付け、器ごと再加熱する方式も存在します。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

関連記事:クックチルとニュークックチルの違いとは?共通点もご紹介

2-2.クックサーブのメリット・デメリット

クックサーブには、以下のようなメリットとデメリットがあります。

クックサーブのメリット ・献立のバリエーションが豊富
・調理の自由度が高い
クックサーブのデメリット ・喫食時間から逆算して、直前に調理を行う必要がある
・時間に追われるため提供ミスのリスクがある

クックサーブでは、野菜の切り方の調整や療養食への対応など、利用者に寄り添った食事の提供が可能です。一方、運営面での課題も多く、特に大規模な給食サービスでは効率性の面で難しい点があります。

3.クックチルとクックサーブの違いを比較

ここからは、クックチルとクックサーブの違いを「調理の流れ」と「特徴」に分けて比較していきます。

3-1.調理の流れを比較

クックチルとクックサーブでは、調理の流れに以下のような差があります。

3-1-1.自社で調理を全て行う場合

自社にて調理をおこなう場合は、以下のような工程で調理が進みます。

クックチル クックサーブ
前日 食材を加熱調理
調理された食材を急速冷却
保管
チルドにより保存
喫食時間前 食材の下処理
食材を加熱調理
再加熱
盛り付け
給食利用者へ提供

3-1-2.調理を外部に委託した場合

一方調理を外部に委託する場合は、以下のような流れで調理が進みます。

クックチル クックサーブ
外部セントラルキッチン 食材を加熱調理
調理された食材を急速冷凍
配送
施設での対応 チルドにより保存 当日お弁当や惣菜を配送
施設にて再加熱
盛り付け
給食利用者へ提供

調理を外部に委託している場合はセントラルキッチンで完了してから配送されるため、施設での対応は保存・再加熱・盛り付けのみとなります。

一方クックサーブは調理のすべてを施設で対応するため、その分時間と手間がかかる点に両者の大きな違いがあります。

3-2.特徴を比較

ここまで解説をしてきたそれぞれの定義やメリット・デメリットを踏まえ、両者の特徴について以下の表で比較していきます。

比較項目 クックチル クックサーブ
味やおいしさ ・品質は変わらず十分においしい ・出来立てのおいしさを味わえる
必要な設備 ・自社でクックチルを導入する場合は冷却器などの投資が必要
・外部委託の場合は加熱と盛り付けのみのため、設備を最小限に抑えられる
・自社調理の場合は調理から対応する分多くのリソースが必要
・外部委託の場合は設備を最小限に抑えられる
味の統一性 ・時間に猶予があるためマニュアル通りに調理しやすい ・時間に制限があるため統一化しにくいケースもある
安全面 ・決められた調理行程を順守しなければ規定の消費期限が担保されない ・慎重な調理が必要であることは変わりがない

食事の提供人数は何人なのか、調理担当者が現状どの程度いるのか、安全管理は問題なくおこなえるのかなどの基準から、どちらの調理方式が適しているのかを考えて選択する必要があります。

4.クックチルとクックサーブを組み合わせることも可能

給食の現場で、クックチルとクックサーブを組み合わせることも可能です。これを、「ハイブリッド給食」といいます。ハイブリッド給食の例では、朝と夜をクックチルにて提供し、昼食はクックサーブで提供するなどです。

4-1.ハイブリッド給食を導入するメリット

ハイブリッド給食を導入することで、クックチルとクックサーブのデメリットを相互に補完し、より質の高い給食サービスを提供できるようになります。

ハイブリッド給食最大の利点は、メニューの多様性を確保しつつ、効率的な運営と柔軟な対応を両立できることです。クックチルの弱点であるメニューの幅の狭さは、クックサーブの柔軟性で補うことができます。また、クックチルで大量調理の効率を上げつつ、クックサーブで作り立ての美味しさを提供することも可能になるのです。

さらに、クックサーブの要素を残すことで、療養食など個別ニーズへの柔軟な対応もできます。

多様化する食のニーズと運営効率の両立が求められる現代において、ハイブリッド給食は新しい給食サービスのあり方として、今後さらに注目を集めることが予想されます。

4-2.ハイブリッド給食を導入するときのポイント

ハイブリッド給食を導入するときは、以下のようなポイントを意識しましょう。

  • 朝・昼・夜それぞれの調理方式を決定する
  • それぞれの調理方式で提供する献立を考える
  • 療養食の場合はクックサーブが対応しやすい

ハイブリッド給食を導入する際は、クックチルとクックサーブの特徴をそれぞれ理解したうえで、利用者の満足度が高くなるような組み合わせを考える必要があります。

5.まとめ

クックチルとクックサーブはどちらも食事の調理方式ですが、提供までの工程や特徴に大きな違いがあります。介護施設や老人ホーム・社員食堂などで採用する調理方式を決める際は、それぞれのメリット・デメリットをよく理解し、適切なほうを選ぶようにしてください。

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