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給食現場の人手不足をどう解決する?原因と5つの対策を解説

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日本給食業経営総合研究所

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その他

給食現場では、決められた時間に安全な食事を提供する必要がある一方、早朝勤務、欠員、調理担当者の高齢化、採用競争などにより、必要な人員を確保しにくい状況があります。病院や介護施設では食形態や治療食への対応も多く、単純に人数を補充するだけでは負担が減らないこともあります。
給食の人手不足は、採用だけの問題ではありません。作業が特定の時間や人に集中していないか、やめられる業務はないか、外部サービスや調理方式を活用できないかを含めて、運営全体を見直す必要があります。
この記事では、給食現場で人手不足が起こる原因と放置するリスク、採用・定着、業務の標準化、IT活用、外部委託・調理方式の見直しによる解決策を解説します。

給食現場で人手不足が起きる4つの背景

給食現場で人手不足が長期化する背景には、採用の難しさだけでなく、勤務時間、職員の定着、技能継承、欠員による業務負担の増加があります。ここでは、代表的な4つの背景を解説します。

  • 人材の定着が難しい
  • 早朝勤務があり、採用条件が限られる
  • 調理担当者の高齢化で技能継承が難しい
  • 欠員により業務量が増え、改善活動に手が回らな

1. 人材定着が難しい

給食現場では、早朝を含む勤務時間、身体的な負担、アナログ作業、教育や評価の分かりにくさなどが重なり、採用後の定着が難しくなることがあります。離職を個人の問題として捉えず、勤務条件、業務量、教育、職場内のコミュニケーションを分けて確認することが重要です。

2. 早朝勤務があり、採用条件が限られる

朝食を提供する施設では、早朝から仕込みや調理が始まります。短時間のピークに複数人が必要となるため、希望する勤務時間と現場の必要時間が合わず、採用が難しくなる場合があります。
早朝勤務をなくせない場合も、前日調理が可能な工程、クックチルで平準化できる工程、短時間勤務者へ分担できる業務を整理すると、特定の職員への負担を減らせます。

3. 調理担当者の高齢化で技能継承が難しい

給食現場では、長年勤務してきた調理担当者の高齢化や退職により、経験に基づく判断や調理技術を引き継げないことがあります。特定の職員だけが把握している作業が多いと、退職や欠勤の際に業務を代替できません。
作業手順や判断基準を言語化し、写真付きマニュアルやチェックリストとして残すことが重要です。若手職員や新任者が段階的に業務を習得できる教育計画も整備します。

4. 欠員により業務量が増え、改善活動に手が回らない

欠員が続くと、1人当たりの調理・洗浄・記録・発注業務が増え、残業や応援対応が常態化しやすくなります。管理者が現場作業に入る時間が増えると、採用、教育、原価管理、改善活動に手が回らず、人手不足がさらに長期化します。
業務が圧迫されると、食事提供の品質低下や職員の疲弊につながるおそれがあります。業務の効率化や人員配置の見直しなど、負担を軽減する対策を進める必要があります。

人手不足を放置すると、事業継続と受託余力にも影響する

必要人数を下回る状態が続くと、確認漏れ、提供遅延、品質のばらつき、ヒヤリハットの増加につながります。既存職員への負担が増えることで、さらに退職を招く悪循環も起きやすくなります。
給食会社にとっては、既存受託の継続が難しくなる、新規案件を受けられないといった成長上の制約にもなります。施設側にとっても、安全な食事提供を継続できる体制をどう確保するかという経営課題です。

給食現場の人手不足を改善する5つの対策

給食現場の人手不足は、採用だけで解決できるとは限りません。定着支援、業務設計、IT、外部委託、調理方式を組み合わせ、施設の負担が大きい部分から改善する必要があります。ここでは、次の5つの対策を解説します。

  • 採用条件と定着支援を見直す
  • ITを活用する
  • 業務を分解し、標準化・再配置する
  • 給食業務を外部委託する
  • 調理方式を見直す

採用条件と定着支援を見直す

採用では、現場が必要とする曜日、時間帯、技能を整理し、仕事内容と勤務条件を具体的に示します。フルタイムだけでなく、早朝のみ、洗浄のみ、曜日限定など、工程に合わせた働き方を設計する方法もあります。
求職者を女性、外国人、高齢者といった属性だけで一括りにせず、担当業務に必要な技能、教育方法、安全面の配慮、相談体制を整えることが重要です。業界全体の統計だけで採用可能性を判断せず、自社の応募数、採用率、早期離職率などを確認します。
採用人数だけを追うと、教育が追いつかず早期離職につながります。入社初日から独り立ちまでの教育手順、相談相手、習熟確認、評価基準を決め、受け入れ体制を整えます。

採用後に人が定着する組織づくりを確認する

人手不足を改善するには、採用数を増やすだけでなく、既存職員が働き続けやすい職場をつくることが重要です。

離職の原因整理、管理者の関わり方、面談や評価の考え方をまとめた資料をご活用ください。

ITを活用する

給食現場でITを活用すると、在庫管理、献立管理、帳票作成、情報共有などの定型業務を効率化し、職員の負担や転記ミスを減らしやすくなります。削減できた時間を、利用者対応、栄養管理、職員教育、業務改善などに充てられる点もメリットです。
給食現場での活用例には、次のようなものがあります。

  • クラウド型の給食管理システムによる在庫・発注管理
  • 献立作成支援システムによる栄養計算や帳票作成
  • タブレット端末を使った食数変更や作業指示の共有

導入前に、どの作業に時間がかかっているか、転記や確認のミスがどこで発生しているかを確認します。ITの導入自体を目的にせず、削減したい業務に合う機能と、現場が継続して利用できる操作性・支援体制を選ぶことが重要です。

業務を分解し、標準化・再配置する

検収、下処理、調理、盛り付け、配膳、洗浄、発注、帳票など、工程ごとの人数と時間を測ります。そのうえで、資格や経験が必要な業務と、手順を整えれば分担できる業務を分けます。
写真付きマニュアルやチェックリストを整備すると、新人教育を行いやすくなり、特定の職員にしかできない作業を減らせます。器具の配置、移動、待ち時間、二重入力を見直すことも、採用せずに負担を減らす方法です。

給食業務を外部委託する

施設が主体となって給食業務を運営する直営方式に対し、委託給食では、調理や洗浄、献立作成、食材調達などの全部または一部を外部の給食会社へ委託します。
全面委託だけでなく、洗浄や調理など、負担が大きい工程だけを任せる部分委託も選択肢です。ただし、地域や契約条件によっては委託会社側も人員確保に課題を抱えている場合があります。委託範囲、施設と委託会社の責任分担、欠員時の応援体制、品質管理の方法を事前に確認してください。
直営給食との違い、委託できる業務、メリット・デメリット、委託会社を選ぶ6つの確認項目、導入までの流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。人手不足をきっかけに委託化を検討している方は、自施設に合う委託範囲や会社を判断する際の参考にしてください。
👉委託給食とは?メリット・デメリットや委託先の選び方6選を解説

調理方式を変更する

提供日に仕込みから調理、盛り付け、片付けまでを行うクックサーブは、できたての食事を提供しやすい一方、食事前の時間帯に作業が集中しやすい方式です。
この作業負担を平準化する選択肢の一つが、クックチルです。クックチルは、加熱調理した料理を急速冷却・低温保管し、提供前に再加熱する調理方式です。調理と提供の時間を分けられるため、ピーク時の作業負担を抑えやすくなります。
ただし、冷却・保管・再加熱に必要な設備、温度記録、保管スペース、メニューの適性を確認しなければなりません。導入によってどの工程と作業時間を削減できるのかを事前に整理することが重要です。
調理・冷却・保管・再加熱の流れ、保存期間と安全管理、ほかの調理方式との違い、導入費用と投資回収については、以下の記事で詳しく解説しています。
👉クックチルとは?給食現場の調理手順・保存期間と導入メリットをわかりやすく解説

施設別に優先したい人手不足対策

病院・介護施設

食形態や当日変更が多いため、情報伝達と確認作業の標準化を優先します。個別対応が必要な工程は施設内に残し、標準化しやすい主菜や朝食のみ外部化するなど、部分導入も検討します。

学校給食・大量調理施設

限られた時間に大量調理するため、工程別の必要人数、動線、機器能力を確認します。下処理や洗浄の機械化、作業区分の見直し、応援要員の配置ルールなど、ピーク時間の負荷を下げる施策を優先します。

給食会社

事業所ごとの採用に任せず、複数事業所での応援体制、責任者育成、作業標準、離職理由の集計を共通化します。人員不足で受託継続が難しい案件は、契約仕様、価格、調理方式まで含めて見直します。

人手不足対策は、負担が大きい工程から小さく試す

人手不足対策は、一度に複数の施策を進めると、現場の負担が増え、どの施策が効果を生んだのか判断しにくくなります。まずは調理、盛り付け、配膳、洗浄、発注、記録などの工程ごとに負荷を把握し、最も負担が大きい箇所を一つ選んで改善します。改善前後の数値と職員の反応を比較し、効果が確認できた施策から対象を広げていきましょう。具体的には、次の5つのステップで進めます。

  1. 工程ごとの人数、時間、残業、欠員、ミスを測る
  2. 負担が最も大きい工程と時間帯を一つ特定する
  3. 標準化、配置変更、IT、外部化のうち一つを試す
  4. 作業時間、残業、品質、職員の反応を測る
  5. 効果が確認できた方法を別の工程や事業所へ広げる

採用人数だけでなく、定着率、欠員日数、残業時間、応援時間、提供遅延、ヒヤリハットを確認すると、対策が運営改善につながったかを判断できます。

採用・定着・業務設計を組み合わせて人手不足を改善する

給食現場の人手不足は、早朝勤務やピーク時間への作業集中、専門性、属人化、教育・評価の不足など、複数の要因が重なって起こります。採用だけで解決しようとせず、定着、業務の分解と標準化、IT・機器、外部委託・調理方式を組み合わせることが重要です。
最初に工程ごとの作業量を把握し、負担が大きい箇所から小さく試してください。限られた人員でも安全な食事提供を続けられる体制をつくることが、職員の定着と事業継続につながります。

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