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給食会社のセントラルキッチン導入|立ち上げ費用と投資回収(ROI)試算

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日本給食業経営総合研究所

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売上・粗利を増やしたい業務改善をしたい

現在、高齢者施設や病院向け受託給食会社、医療・介護法人の直営厨房、仕出し・宅配弁当業界は、これまでにない厳しい経営環境に直面しています。「求人を出しても人が集まらない」「人件費や原材料費が上がり続けて利益を圧迫している」という二重苦は、多くの経営者様が日々頭を悩ませている課題ではないでしょうか。

人手不足だからといって採用コストをかけ続けたり、サービスの質を落としたりする対処療法では、限界が近づいています。そこで、こうした業界全体の課題を根本から解決し、「人手に頼らない利益体質」を作る仕組みとして、いま非常に注目されているのが調理機能を一箇所に集約する「セントラルキッチン」の活用や、完調品を含めた調理インフラの再構築です。

ただし、必ずしも「自前で大きな工場を建てれば解決する」という単純な話ではありません。

本記事では、給食・弁当業界の経営層や施設理事長に向けて、セントラルキッチンの基本的な仕組みから、具体的なコスト削減効果、立ち上げ費用の目安、投資回収(ROI)を左右するリアルな条件まで、経営数字から最適な選択肢を判断するためのポイントをわかりやすく解説します。

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「記事を読む前に、まずは自社でセントラルキッチンを導入・活用した場合の概算費用や投資回収年数(ROI)を知りたい」という経営者様向けに、数値を入力するだけで自動試算できるツール(無料Excelシート)をご用意しています。
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目次

1. 現場を苦しめる人手不足と「厨房のヒヤリハット」

求人を出しても応募が来ない現場では、既存のスタッフに過度な負担がかかり、業務のブラックボックス化や教育不足が生じやすくなります。こうした状況は、単にスタッフが疲弊するだけでなく、実は経営を揺るがす深刻な「事故」のリスクをはらんでいます。

特に、現場に増えている外国人スタッフや未経験スタッフの教育が追いつかないことで、以下のようなヒヤリハット事例が多発しています。

  • 文化や習慣の違いによる盛り付けミス
    日本には馴染み深い「一汁三菜」の文化ですが、海外の多くの地域では料理を一つのお皿にまとめる「ワンプレート」が主流です。そのため、「どの器に何を盛り付けるべきか」が直感的にわからず、ご飯のお椀に味噌汁を注いでしまったり、主菜と副菜を間違えて盛り付けたりする事態が発生します。
  • 誤膳・配膳ミスによるアレルギーや食中毒リスク
    個々の利用者に合わせた「きざみ食」「とろみ食」「禁食(アレルギーや治療上の制限食)」の判断を現場スタッフの目視や記憶に頼っていると、人手不足でバタバタしている時間帯に「出してはいけない食事を誤って提供してしまう」といった重大な事故に直結します。

こうした現場の「人の判断に頼るオペレーション」を組織の「仕組み」によって解決することこそが、今後の給食経営において不可欠です。

給食会社の厨房における人手不足から業務負担増、教育不足、外国人・未経験スタッフの誤膳や盛付ミス、事故・クレーム、さらなる離職へとつながる悪循環を示したフローチャート図。
図1:人手不足が給食厨房にもたらす悪循環と品質・安全リスクの構造

2. ミスが起きない厨房を作るための「仕組み化の鉄則」

人手不足のなかで安全かつスムーズに厨房を回すためには、「スタッフ一人ひとりの能力や判断に依存しないオペレーション」を作ることが鉄則です。具体的には以下の2つのアプローチを徹底する必要があります。

① 個人の判断や解釈を挟ませないルールづくり

スタッフの日本語スキルや経験値に左右されないよう、一目で作業内容が理解できるガイドブックやマニュアルの作成が必要です。また、「少しでも判断に迷うこと、マニュアルにない例外が発生した場合は、自己判断せず、必ずリーダー(または上長)に指示を仰ぐ」という報告のルールを徹底させます。「おそらくこうだろう」という勝手な解釈を徹底的に排除することが、重大な誤膳を防ぐ最大の防壁になります。

② 無駄・無理・ムラの徹底排除

特定の職人技やベテランの経験に頼る調理方法は、現場に「無理」を強いることになり、仕上がりの「ムラ(品質のバラつき)」を生み出します。誰がやっても同じ時間で、同じ品質に仕上がるシンプルな作業工程に落とし込むことが、現場の「無駄」を減らし業務効率化を進めるカギとなります。

この「個人の判断に頼らず、作業を限りなくシンプルにする」という仕組み化を実現する有力な手法の一つが、次に解説する「セントラルキッチン」をはじめとする調理工程の集約・標準化です。

3. セントラルキッチンとは?初めての方向けに仕組みと調理方式を解説

そもそも、セントラルキッチンとはどのような仕組みなのでしょうか。

セントラルキッチンの意味(仕組み)

セントラルキッチンとは、複数の施設や店舗、配達ルートで提供する食事を、1つの中央集中型の大規模な工場(キッチン)でまとめて調理・加工・包装する施設のことです。各施設側の厨房では、イチから調理をする必要がなくなり、届いた料理を「温め直して盛り付けるだけ」の簡易的な作業で済むようになります。

「クックチル(急速冷却)」と「クックサーブ(現地調理)」の違い

セントラルキッチンを支える代表的な調理方式が「クックチル」です。

  • クックサーブ(従来型)
    食材の仕込みから加熱調理、提供までをすべて給食を提供する施設の厨房で一貫して行う方法(現地手作り調理)。調理後すぐに温かい状態で提供するが、食事時間に合わせて大量のスタッフを集中配置する必要がある。
  • クックチル(CK推奨)
    セントラルキッチンでまとめて加熱調理した後、加熱後30分以内に冷却を開始し、90分以内に芯温を3℃以下まで急速冷却して衛生的に保管する方法。調理した日から5日間(調理日+4日)の保存が可能。提供する施設では、食事時間に合わせて「再加熱(リヒート)」して盛り付けるだけで済む。

クックチル方式のセントラルキッチンを導入することで、これまで早朝から深夜まで各施設で行っていた「仕込み・調理・味付け」といった重労働が工場へ集約されます。施設の厨房スタッフの仕事は「温めと盛り付け」だけになるため、現場の負担は劇的に軽減されます。

詳しく知りたい:クックチルシステムの具体的な調理の流れ

セントラルキッチンの主軸となる「クックチル」ですが、現地調理(クックサーブ)と比べて具体的にどのような手順で食事が作られ、各施設へ届けられるのか、その詳細なステップをご存存でしょうか。

クックチルシステムを円滑に機能させるためには、加熱調理後の「急速冷却」の工程が極めて重要です。具体的には、調理後30分以内に冷却を開始し、90分以内に食材の中心的温度(芯温)を3℃以下まで一気に下げることが衛生管理上の鉄則とされています。これにより、菌の繁殖しやすい温度帯をすばやく通過させ、調理日を含めて5日間の安全な保存が可能になります。

施設の厨房では、この届いた食事を食事時間に合わせて「再加熱(リヒート)」するだけで、調理したてのような温かく美味しい食事を提供できるようになります。以下のコラムでは、クックチルの基本的な調理の流れや、給食運営において具体的にどのようなオペレーションのメリット・デメリットが生まれるのかを、初めての方向けに図解付きでさらに詳しく解説しています。

👉こちらもご覧ください:クックチルシステムとは?調理の流れや給食におけるメリット・デメリット

詳しく知りたい:クックチルのデメリットと導入で後悔しないための対策

人手不足対策として非常に有効なクックチルですが、「導入して本当に後悔しないだろうか」と不安を感じる経営者様も少なくありません。実際に、導入後に「思ったほど現場の負担が減らなかった」「料理の品質に対する利用者の満足度が下がってしまった」といった壁にぶつかるケースもあります。

クックチルの主なデメリットとしては、初期投資の大きさに加え、急速冷却や真空包装によって「食材の食感が変わる」「独自の献立に対応しにくい」といった点が挙げられます。

しかし、これらの課題は事前に正しい対策と運用のコツを掴んでおけば十分に回避可能です。たとえば、クックチルに向いているメニューと現地調理を組み合わせる工夫や、現場スタッフへの丁寧な研修を行うことで、導入後のミスマッチを劇的に減らすことができます。失敗リスクをあらかじめ把握し、後悔のない厨房改革を進めるための具体的なノウハウについて、詳しくは以下の解説コラムを参考にしてください。

👉こちらもご覧ください:クックチルにデメリットはある?導入で後悔しないための方法とは?

4. セントラルキッチン導入のメリット・デメリット

大きな投資を伴うセントラルキッチンだからこそ、得られるリターン(メリット)と許容すべきリスク(デメリット)を正しく天秤にかける必要があります。

現地調理(クックサーブ)とセントラルキッチン(クックチル)の工程を比較した図解。現地調理は各拠点で仕込み・加熱・盛付・提供・洗浄まで行う一方、セントラルキッチンは工場で調理・急速冷却を集約し、各拠点では再加熱・盛付・提供のみで運営できることを示している。
図2:現地調理(クックサーブ)とセントラルキッチン(クックチル)の工程比較

メリット

  1. 厨房人件費の劇的な削減
    各施設の現場厨房で必要なスタッフの人数を大幅にスリム化できます。
    モデルケース(100床規模の高齢者施設・1日300食提供の場合)
    ・導入前(クックサーブ):施設厨房に5〜6名が必要
    ・導入後(CK・クックチル移行):施設厨房は3〜4名で運営可能
    効果:約20%〜35%の人件費削減が目安となります。
  2. 原材料費(食材原価)の削減
    食材を個別発注するのではなく、セントラルキッチンが一括して大量購入することで仕入れ交渉力が強まり、スケールメリットにより食材費単体で3%〜8%程度改善します。さらに、工場で端材を効率よく使い回せることによる「廃棄ロスの削減」、一元管理による「発注精度の向上と在庫削減」まで含めると、実質5%〜10%の原価改善を実現する企業も多く存在します。
  3. 採用難・欠員・応援問題の解決
    現場で味付けや火加減といった専門的な調理技術(職人技)がいらなくなるため、無資格のパートスタッフやシニア層、外国人スタッフ、未経験者でも初日から問題なくシフトに入ることができます。また、急な欠員が出た際にも他店舗からの応援手配などの調整負担が劇的に少なくなります。
  4. 食の安全と品質の均一化
    温度・時間管理が徹底された工場で一括調理されるため、衛生管理レベル(HACCPなどへの対応)が飛躍的に高まり、食中毒リスクを極小化できます。また、「施設や調理スタッフによって料理の味が変わる」といった不満がなくなり、常に一定の美味しい食事を全員に届けることができます。

デメリット

  1. 高額な初期投資
    セントラルキッチンの立ち上げには、衛生基準を満たす専用の建物、急速冷却機(ブラストチラー)、真空包装機などの特殊な厨房設備を揃える必要があり、億単位の建設・改修費用がかかります。
  2. 稼働率が低い場合の赤字(固定費)リスク
    セントラルキッチンは工場を動かすための光熱費や固定の人件費、設備の減価償却費が毎月発生します。製造する食数があまりにも少なすぎると、1食あたりの製造コストが現地で作るよりも高くなってしまい、投資回収どころか毎月赤字を出してしまうリスクがあります(稼働率の設計ミス)。

詳しく知りたい:セントラルキッチンの設備投資と運用の成功法則

セントラルキッチンの立ち上げは、億単位の資金が動く一大プロジェクトです。それだけに、得られるメリットだけでなく、許容すべきリスクや運用面での注意点を立体的に理解しておく必要があります。

セントラルキッチンを導入する最大の強みは、やはり複数施設の調理工程を一括集約することによる「圧倒的な省人化」と「食材費のコスト削減」にあります。しかしその一方で、工場を維持するための毎月の光熱費や固定人件費といった固定費リスクを背負うことにもなります。もしも工場の「稼働率」が想定を下回ってしまえば、設備投資が重荷となり経営を圧迫しかねません。

つまり、セントラルキッチンを成功させる本当の鍵は、高性能な設備を選ぶことではなく、導入後の「運用の仕組み」をいかに緻密に設計できるかにあります。投資リスクを最小限に抑え、セントラルキッチンの強みを最大限に活かして持続可能な利益体質を作るための運用のコツについて、以下のコラムで詳しく紐解いています。

👉こちらもご覧ください:セントラルキッチンとは?設備投資するメリット・デメリットや運用のコツ

5. 自社セントラルキッチンの立ち上げ費用(初期投資)の実態

では、実際にセントラルキッチンを立ち上げるにはいくら必要なのか、リアルな金額の目安を見ていきましょう。

⚠️前提として、初期投資額は「対象とする物件の状態(新築/既存)」「製造する食数規模」「導入する設備機器のスペック」「衛生管理基準(HACCP等)」によって大きく変動します。以下に示す金額は、あくまで計画の初期段階における大まかな目安として参考にしてください。

高齢者施設や病院向けの受託給食会社が、1日3,000〜5,000食規模のセントラルキッチンを立ち上げる場合、大きく以下の2パターンが考えられます。

パターンA:既存の建物(倉庫や工場:300〜500坪程度)を改装する場合

新しく建物を建てずに、既存の不動産物件を活用する場合でも、初期投資は【約1.5億〜3億円】程度が一つの目安になります。

主な設備・費用の内訳:

  • 建物改修・内装工事(床、壁、排水、パーテーションなど)
  • 業務用厨房設備(スチームコンベクションオーブン、フライヤー、ボイラー等)
  • クックチル専用設備(ブラストチラー、真空冷却機、真空包装機等)
  • 冷凍・冷蔵保管設備(プレハブ冷凍・冷蔵庫)
  • 配送用資材(配送用ラック、専用コンテナ等)
  • 電気・水道設備(高圧受電用のキュービクル改設等)

📝 実際の導入事例
弊社が確認した実例では、約380坪の既存工場を活用し、プロトン凍結機、真空冷却機、ブラストチラー、プレハブ冷凍冷蔵庫、真空包装機、ボイラー、キュービクル等をフルスペックで整備しました。その際、厨房・冷凍設備投資だけで約1億円、建物の改修工事や専門家コンサルティング費用などを含めて総投資額は1億円強(1.2〜1.3億円程度)に抑えて立ち上げた、冷凍食品製造を兼ねた中規模CKの事例もございます。ただし、物件の耐震改修や電気容量の引き込み状況によってはさらに膨らむ場合もあります。

パターンB:土地を確保し、建物を「新築」する場合

建物の設計段階から理想的な作業動線や衛生管理(クリーンゾーンとダーティゾーンの区分)を構築できるものの、土木建築工事費用がそのまま乗るため、【約4億〜6億円程度】またはそれ以上の投資を見込む必要があります。

6. 【投資対効果(ROI)】初期投資は何年で回収できる?

数億円規模の資金投資を検討する際、経営層として最も重要な判断材料となるのが「何年で投資を回収できるのか(ROI)」という財務シミュレーションです。

投資回収の目安期間は「5年〜7年」だが前提条件で大きく変わる

一般的な給食業界のセントラルキッチン投資では、事業計画上「5年〜7年程度」での回収(累積コストの逆転)を一つの指標とするケースが多く見られます。
ただし、この投資回収期間は決して固定されたものではありません。

実際には「工場の稼働率」「配送効率・配送エリア」「OEM受託や外販の売上」「新規受託獲得のペース」といった変数によって、回収スピードは3年程度に短縮されることもあれば、10年以上かかっても回収できないケースまで極めて大きく変動します。

失敗(赤字)する企業と、成功(黒字)する企業の決定的な違い

投資回収が計画通りに進まず赤字化してしまう企業は、「単に人件費が浮けば回収できるはずだ」と楽観視していたり、稼働率の前提設計に失敗していたりするケースがほとんどです。

❌ 失敗する企業の特徴(回収期間が伸びる・赤字化)

  • 稼働率の低迷と遊休設備
    :「1日5,000食作れる設備」を導入したものの、自社で抱える施設数が少なく、毎日2,000食しか作っていない。工場の稼働率が40%にとどまり、減価償却費と固定費を回収できない。
  • 物流・配送コストの軽視
    :配送ルートや便数、配送車両の燃料費・ドライバー人件費を詳細に計算しておらず、工場から各施設へ食事を配送するコスト(配送費)が想定以上に膨らみ、現場の調理人件費削減分を相殺してしまう。
  • 多すぎる献立・SKU(アイテム数)
    :自社のこだわりを詰め込みすぎてレシピや品数が多すぎ、工場のラインが細切れになり、結局大量生産の効率化(自動化)メリットを活かせず労働時間が減らない。

⭕ 成功する企業の特徴(早期回収・利益率向上)
成功している給食会社・医療福祉法人は、導入前から「人件費削減」に加えて、「総合的な稼働率アップと売上拡大プラン」を同時に設計しています。

  • 他社へのOEM・外販による売上増
    :自社グループの食事(3,000食)にプラスして、近隣のライバル給食会社や介護施設に対して「うちの工場で調理を代行して完調品を卸しますよ」という、調理代行(OEM受託)ビジネスを行い、工場の稼働率を限界(90%以上)まで高めて売上と利益を創出。
  • 人手不足による「受託お断り」の解消
    :「人がいないから、新しい施設からの給食委託の話を断るしかなかった」という状況から脱却し、CK化によって現場厨房が省人化されたことで、一気に年間5〜10件の新規受託案件を獲得し、売上規模を急拡大させて回収スピードを加速。

自社の場合、セントラルキッチン投資は本当に回収できるのか?

ここまで見てきた通り、セントラルキッチンは「人件費を削減できるから導入する」という単純な投資ではありません。

実際には、現在の食数、施設数、厨房人員、配送エリア、初期投資額、稼働率、外販・OEMの可能性まで含めて考えなければ、導入後に「思ったより固定費が重い」「配送コストで利益が残らない」「設備を持て余してしまう」といった失敗につながる可能性があります。

そのため、設備メーカーに相談する前に、まずは自社の経営数字をもとに「自社CKを建てるべきか」「OEMを活用すべきか」「完調品を仕入れる方が安全か」を整理することが重要です。

💡 日給研からのワンポイント:投資判断のポイント整理をサポート

日給研では、給食会社・医療介護法人・仕出し弁当事業者様向けに、セントラルキッチン導入時に確認すべき投資判断のポイント(自社CKを検討すべき食数規模の目安/投資回収できる会社と失敗する会社の違い/OEM・完調品活用との比較など)をまとめた無料資料をご用意しています。「自社の場合、本当にセントラルキッチンを建てるべきなのか」を判断する材料として、ぜひご活用ください。

👉セントラルキッチン導入前に確認すべき投資判断チェックシート

詳しく知りたい:給食業界の勝機を掴む「調理代行(OEM)ビジネス」の全貌

これからの超高齢化と人手不足の時代を勝ち抜く給食会社は、セントラルキッチンを単なる「自社用の調理場」としては捉えていません。自社のために建てたキッチンの余剰能力を活用し、近隣のライバル給食会社や人手不足に悩む介護施設に対して完調品を卸す「調理代行事業(OEM)」へとビジネスを展開しています。

給食業界の市場規模は底堅い一方で、どこの企業も「現場の調理員がいないから新規受託を断らざるを得ない」という限界を迎えています。ここに目をつけ、自社のセントラルキッチンを「地域の調理インフラ」として開放することで、工場側は稼働率を限界まで高めて劇的な利益率向上を実現でき、受託側は初期投資なしで即座に人手不足を解消できるという、圧倒的なウィンウィンの関係が成立します。

単なるコスト削減のハードルを越え、自社ビジネスを大きくスケールアップさせるための「セントラルキッチン代行事業」の全貌と具体的な戦略については、ぜひ以下のコラムをご覧ください。

👉こちらもご覧ください:高齢化×人手不足の時代に勝つ!給食業が今すぐ取り組むべきセントラルキッチン代行事業とは?

7. 「自社構築」「OEM活用」「完調品仕入れ」損益分岐点と賢い選び方

人手不足対策としてセントラルキッチン(クックチル方式)を取り入れたい場合、必ずしも「自前で億単位のお金を払って建てる」ことだけが最適解とは限りません。自社の食数規模や財務体力、将来の戦略に合わせて、以下の3つの選択肢(およびその組み合わせ)を冷静に比較検討することが重要です。

給食会社の食数、財務体力、人件費、将来戦略に応じて、自社セントラルキッチン(CK)、OEM活用、完調品・ハイブリッド運用の3つの厨房体制を比較した分岐図。
図3:自社セントラルキッチン・OEM・完調品の最適な選択基準

自社に最適な調理インフラの選択基準

  • 自社セントラルキッチン
    【特徴】受託施設数が多く、今後さらに施設数を増やしたい。独自メニューを会社の強み(ブランド)として確立したい。余力で外販や調理代行(OEM)ビジネスを展開したい。
    【損益分岐点】1日あたりの総食数が「2,500〜3,000食」を超える場合、外部から買い続けるよりも自前で建てたほうが製造原価を最も抑えられ、長期的なスケールメリットが得られる可能性があります。
  • OEM(他社製造)の活用
    【特徴】将来的にオリジナル商品を外販したい。冷凍食などのテスト販売を行いたいが、最初から大きな設備投資をするリスクは避けたい。
    【損益分岐点】初期投資をほぼゼロに抑えながら市場のニーズを確認し、売上の目処が立ってから自社設備へ移行するという堅実なステップが踏めます。
  •  完調品(完全調理品)の購入
    【特徴】受託施設数が数件と少ない。現場の調理スタッフ不足が深刻で、今すぐにでも厨房を省人化したい。今は高額な設備投資を行う資金的タイミングではない。
    【損益分岐点】固定費を増やすことなく、購入した完調品を湯煎して盛り付けるだけで、短期間かつ確実に現場の人手不足問題を解決できます。
給食会社の総食数に応じた最適な厨房運営方法を示したポジショニング図。食数規模に応じて完調品購入、ハイブリッド型、自社セントラルキッチンの選択肢を比較し、投資リスクと損益分岐点の考え方を整理している。
図4:総食数に応じて変わる給食会社の最適な厨房運営モデル

最近の業界トレンド「ハイブリッド型」のすすめ

「すべてを自社工場で作る」「すべてを外部からの仕入れに頼る」という極端な二者択一ではなく、現実的には以下のように強みを組み合わせる「ハイブリッド運用」で大成功を収めている企業も多く存在します。

  • 朝食・夕食:スタッフが手薄でシフトが回りにくい時間帯は、外部の「完調品」や「クックチル食品」を再加熱して省人化。
  • 昼食:現場にスタッフが多く稼働できる時間帯は、こだわりの「自社CK品」や一部を現地で調理して手作り感を提供。
  • 行事食・個別食:イベントやアレルギーなどの個別対応食は、各施設厨房で「手作り」して利用者の満足度を高める。

自社の強みと課題を整理し、どこを内製化し、どこを外部依存(標準化)させるかを「経営数字」から逆算して設計することが、失敗しない厨房改革の第一歩です。

8. セントラルキッチン導入時に「現場の反対」を乗り越えるコツ

いざセントラルキッチンの計画や調理工程の一括集約が動き出しても、各施設の既存調理スタッフから「手作りじゃなくなったら冷たい食事になる」「機械の使い方がわからなくて不安」「私たちの仕事が奪われるのか」といった猛反発を食らい、導入が頓挫してしまうケースは珍しくありません。

反発を乗り越え、スムーズに現場へ定着させるためのコミュニケーションのコツは、伝える「目的(切り口)」を変えることです。

× 「厨房の調理工程をなくして、人件費を削減し、楽にするためです」

これではスタッフは「自分たちはクビを切られるのか」「手抜きの仕事をさせられるのか」と不信感を抱きます。

◎ 「みなさんにしかできない、利用者様への『本当の価値提供』の時間を増やすための変革です」

クックチルや再加熱設備の導入は、調理をサボるためではなく、朝早く起きて重い鍋を振るったり、野菜を切り続けたりといった「体力的な重労働」からスタッフを解放するためのものです。

調理にかかっていた時間を削減し、浮いた時間で、

  • 盛り付けのデザインやクオリティを上げ、見た目の美味しさにこだわる
  • アレルギー対応や、利用者一人ひとりの硬さに合わせた丁寧な食形態調整(個別対応)を行う
  • 季節ごとの行事食やイベント給食の企画に頭を使う
  • 食堂に出て、利用者様と「今日のご飯はどうですか?」といった直接のコミュニケーションの時間を増やす

といった、「人にしかできない、温かみのあるサービス」に時間を振り向けられるようになることを丁寧に説明しましょう。現場スタッフの仕事のやりがいはそのままに、労働環境を改善するためのポジティブなプロジェクトであることを共有することが、スムーズな運用の第一歩となります。

9. 設備を入れる前に「経営数字」から逆算しよう

セントラルキッチンの導入や厨房改革を検討する際、多くの企業や法人様は「どんな高機能なブラストチラーを入れようか」「改装工事にどれくらいお金がかかるか」といった、設備(ハード)の仕様や購入額にばかり目を奪われがちです。

しかし、設備投資で本当に利益を出し、人手不足を根本解決している企業は、「設備を持つこと」自体を目的にしていません。設備を検討する前に、必ず以下の6つの経営指標(KPI)から逆算して事業計画を組み立てています。

  1. 1日当たりの総製造食数:現状だけでなく、3年後、5年後に何食まで増やす計画か?
  2. 設備稼働率:固定費を十分に回収し、利益を残せる製造スケジュールになっているか?
  3. 1食あたりの配送コスト:配送エリア、車両台数、ドライバー給与を含めた1食単価はいくらか?
  4. 各施設の厨房人員数:CK化により、現場スタッフを何名減らし、残業や応援負担を何時間削減できるか?
  5. 新規受託可能件数:人手不足による「受託お断り」がなくなり、新たに年間何施設を受託できるようになるか?
  6. 投資回収年数(ROI):削減できるコストと、外販・新規受託による売上増加分を含め、妥当な期間で回収可能か?

これら6つのKPIを事前にシミュレーションし、自社にとって「本当に自社CKを建てるべきなのか」「OEMや完調品を仕入れるハイブリッド型が安全なのか」という損益分岐点を正確に把握せずに、数億円の投資に踏み切ることは非常に危険です。

まずは自社の「現状の数字」を整理し、客観的なシミュレーションを行うことから始めましょう。

人手に頼らない利益体質の作り方!「セントラルキッチン導入・原価改善シミュレーションシート」

「うちの規模で、本当にセントラルキッチンを建てて元が取れるのだろうか?」
「完調品の仕入れに切り替えた場合と比べて、どちらが利益が残るのだろう?」

そんな給食業経営者様、医療・介護法人の理事長様、お弁当・仕出し業者オーナー様のために、日給研が開発した『セントラルキッチン導入・原価改善シミュレーションシート』を無料で差し上げています。

お手元のExcelに、自社の現在の「受託(運営)施設数」「毎日提供している食数」「現場厨房にかかっている人件費」を入力するだけで、以下の項目が自動で試算されます。

☑️
セントラルキッチンを建てた場合の「適正な初期投資の目安額」

☑️
人件費と食材原価の削減による「投資回収までの想定年数(ROI)」

☑️
「自前で建てる」か「完調品を買う」かの運命を分ける「自社の損益分岐食数」

設備メーカーに相談する前に、まずは自社の経営数字に基づいた客観的なシミュレーションを行うために、本シートをダウンロードしてご活用ください。

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