いつも大変お世話になっております。日本給食業経営総合研究所(日給研)副代表の井上です。今回は「委託給食」が熱い!という明るいテーマをお話したいと思います。
少子高齢化、労働人口減少による事業所給食の厳しい業況は、唯一ほぼ確実に予測できる人口動態からも予測することが難しくありません。しかし無くなることのない「食のインフラ」である給食業は、様々な外部環境の影響を受けてこぼれ落ちてくるシェアをしっかりと確保することで、地場給食会社でも委託給食市場で一層業績を伸ばすことができる事例が生まれています。
規模別の委託状況に一層の変化が起きている
結論から申し上げると、委託給食を主に展開する給食会社は業績を伸ばすチャンスが到来します。そして弁当給食、もしくはCKを活用しサーブ型で請け負うスタイルもまたチャンスです。
その背景には、大手給食会社でも、コスト高による経営の選択と集中が挙げられます。具体的には、下図赤線内の中規模程度=中途半端な規模の企業や施設を対象に、合理化による事業撤退や大幅な価格改定(値上げ)が進行しています。
これをきっかけに、顧客から地場給食会社への相談が続出し、結果受託することで売上を伸ばすことができているわけです。
しかし、これまで委託給食業において、「人がいないから受託できない」「人が採れないから営業はしてこなかった」と人の問題が根深くありました。逆に言えば、この部分をクリアすることで、もっと業績を伸ばすことが可能だったいうことです。では今これらの課題に対して、業績を伸ばしている地場給食会社は一体どのように運営をしているのでしょうか。
それが後に紹介する「人を置かない」「人を減らせる」「誰でもできる」「保存が利く」をテーマにした「完調品」を活用した新しい運営の方法です。
コロナで定着した多様な委託給食の運営スタイル(例)
① 現地調理
(従来の給食スタイル)
② セントラルキッチン・サーブ型
(CKで大量調理したものを現地で再加熱)
③ 現地人員0人置き型
(食事納品のみで現地顧客が簡易管理)
④ 現地加熱調理ハイブリッド型
(一次加工品を活用しながら現地で加熱調理)
⑤ 完調品×人材手配型
(完調品で誰でも回せる運営スタイル)
⑥ 院外・施設外調理カート搬入型
(外部委託かつ厨房レスモデル)
完調品:保存性の高い給食が業界を変える
人手不足問題、コスト問題は上がり続けるものとして経営する必要があります。つまりこれまでの方法だけで、売上を伸ばすのも利益を増やすことも困難なのです。だからこそ、地場給食業でも、例えば完調品やパック給食への参入が増えてきました。それは単にメーカーとして施設や病院への外販売上を付加することだけでなく、委託給食の収益改善や管理費・人員数を抑えながら受託できる新モデルを構築するきっかけとなったからです。
シニア市場への着手は当然ながら、完調品を作れる・使える給食会社は強い!これを改めて強調したいと思っています。