給食や社員食堂などを運営するとき、「委託」と「直営」という2つの形態があることをご存知ですか?委託と直営にはそれぞれ特徴があり、その違いやそれぞれのメリット・デメリットを理解することで、安定した給食の提供・コストを合理化することが可能です。
そこでこの記事では、以下の内容を解説していきます。
- 委託給食・直営給食とは?どんな違いがある?
- 委託給食・直性給食のメリットとデメリット
- 給食業務は委託と直営のどちらを選ぶべき?
この記事を読むことで、自社給食に委託・直営のどちらを取り入れるべきか、どちらが合っているのかを理解できます。自社給食の運営に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.給食業務には委託給食と直営給食がある
病院、老人介護施設、企業などで提供されている給食や社食。そんな給食業務には、「委託」と「直営」の2つの業態があるのをご存知でしたか?ここでは、委託給食と直営給食のそれぞれの特徴を違いを簡単に解説していきます。
1-1.委託給食とは?
委託給食とは、事業所が直接社員食堂などの給食業務をおこなわず、業務の一部または全部を外部の給食会社に委託する方式です。従業員数または喫食数が50名以上と比較的多く、厨房設備の保有や、厨房や食事のスペースがある事業所で選ばれることが多いです。
現地調理が基本のため、温かい食事がとれる、提供種類数が多いなどから満足度の高い給食を提供できます。
1-2.直営給食とは?
直営給食では、施設が独自に給食を提供する形式です。直営給食では、利用者の好みや健康状態を反映させたメニュー作りがしやすく、自社ならではのこだわったメニューを提供しやすいのが魅力です。自社でこだわりのある食材の選定や調理法を提供できます。
幅広い利用者に寄り添ったサービスを提供したい企業・施設が、直営給食を選んでいます。
1-3.委託給食と直営給食の違い
給食業務における「直営」と「委託」には、主に運営方法と管理体制に違いがあります。
直営給食では、施設が自ら給食業務の全工程を手掛けます。そのため、人材採用・人員配置・食材の仕入れ・調理・配膳・そして衛生管理まで全てを施設のみで対応する必要があります。
一方で、委託給食は、これらの給食業務を専門の外部会社に依頼するため、給食業務における人材採用と配置・食材の仕入れから調理・配膳・衛生管理までをすべて丸投げすることが可能です。
2.委託給食と直営給食のメリット・デメリットとは?
ここからは、委託給食と直営給食についてさらに理解を深めるためそれぞれのメリットとデメリットについて詳しくご紹介していきます。
2-1.委託給食のメリット・デメリット
まずは委託給食のメリットとデメリットを解説していきます。
2-1-1.委託給食のメリット
委託給食の主なメリットは以下の3つです。
- 給食業務に関わる人材管理の負担が減る
- 人材不足を解消できる
- 提供する食事の安全性や衛生・品質が保証される
給食業務を委託することで、スタッフの採用や教育、そして管理といった人事関連の負担が大幅に削減されます。これにより、施設はその他本来の業務へより集中することが可能です。
また、専門の給食会社に委託をすることになるため、衛生管理を含めた食事の品質を担保できます。
委託給食では給食運営の全てをアウトソーシング出来るので、「人の採用が出来ないから給食が提供できない」「⚪︎⚪︎さんがお休みなので提供が大変」といった悩みを持たなくて済みます。
2-1-2.委託給食のデメリット
メリットの多い委託給食ですが、以下のようなデメリットも存在します。
- 委託先の選定が難しく信頼関係の構築にも時間がかかる
- 給食の品質が委託先の運営企業に依存する
- 直営に比べると運営管理費がかかる
委託給食の場合、大手から地域に根差した地場企業まで様々な給食運営会社が存在し選び方が難しく、選んだあとも施設と委託会社間での信頼関係構築に時間がかかることがあります。そのためコミュニケーションを密に取ることが重要です。
また、給食の品質が委託先の運営企業に依存するため、放置するのではなく定期的に運営状況を見直しましょう。定番メニューの繰り返しによる給食・社食のマンネリ化を防止するため、定期的にメニューが見直されているか、季節や行事ごとに幅広いメニュー提案があるかも大切なポイントです。
また、委託先のスタッフの変動が品質に影響を及ぼすこともあります。委託先を選ぶ際は、スタッフの入れ替わりについても確認し、人が入れ替わっても品質が変わらない仕組み・レシピがある企業を選ぶようにしましょう。
さらに、給食業務の全てをアウトソーシングするので、当然運営費用は自社でやる場合よりもかかります。注意すべきなのは、運営費が安すぎる委託先です。運営費が安すぎるところは、品質が担保されていないことも。相見積もりのうえ、適正価格で安定的に運営してくれるところを探しましょう。
2-2.直営給食のメリット・デメリット
次に、直営給食のメリット・デメリットについて解説していきます。
2-2-1.直営給食のメリット
直営給食には、主に以下2点のメリットがあります。
- 給食利用者とコミュニケーションが取れる
- 品質管理がしやすい
直営給食では、利用者との直接的なコミュニケーションを通じて個々の好みや健康状態を給食業務に反映しやすくなるため、利用者の満足度が向上する要因となります。また、施設が直接職員の雇用管理をすることで、サービスの品質を一定レベルで保つことが可能です。
2-2-2.直営給食のデメリット
一方で、直営給食のデメリットは以下のような点です。
- 給食に関わる業務量が増加する
- 人員が不足することで給食の品質が落ちる可能性がある
直営給食の導入は、施設内の業務量を増加させ、スタッフの負担を重くする可能性があります。特に人材が不足している場合、給食の準備から提供までに時間がかかり、給食の品質が低下するリスクも。このような状況は、利用者の満足度にも悪影響を及ぼす可能性があり、適切な人員配置と業務管理が重要です。
3.給食業務は委託と直営のどちらを選ぶべき?選び方のポイント4選
では、委託給食と直営給食のどちらを選ぶべきなのでしょうか。以下4つのポイントをもとに検討してみてください。
- 人員の状況・施設の規模
- 業務の管理
- 予算とコスト
- 調理方式
3-1.ポイント①人員の状況・施設の規模
給食を運営する上で、施設の大きさと人員の充実度が重要な要素となります。
小規模でスタッフが十分にいる場合、利用者一人ひとりのニーズに合わせた柔軟な給食提供が可能な直営方式が適しています。
逆に、大規模施設や人手不足が懸念される場合は、一定の品質を保ちつつ効率的に運営できる委託方式が望ましいでしょう。
3-2.ポイント②業務の管理
業務の管理体制が施設・自社内で整っているであれば直営を、そうでない場合は委託を選ぶのがおすすめです。
直営給食では、食材の仕入れから調理、提供に至るまでの全工程を施設内で管理できるため、臨機応変に対応できます。しかし、これは同時に業務量の増加を意味し、管理が難しくなるリスクもあります。
一方で委託給食は、プロの会社が業務を担うため、施設側の管理負担は軽減されます。ですが、委託先との連携が不十分だと要望が反映されにくいことには注意が必要です。
3-3.ポイント③予算とコスト
給食業務において、予算は避けて通れない要素です。
直営方式は初期投資や運営コストがかさむ可能性がありますが、長期的にはコストを抑えられる場合もあります。
一方、委託給食は明確な契約に基づいて費用が発生するため、予算管理がしやすくなります。委託先を選定時は相見積もりをおこない、コストのほかにも品質や人員、メニューの内容なども比較しましょう。
3-4.ポイント④調理方式(委託給食の場合)
委託給食を選ぶ場合は、委託先の給食会社の調理方式も把握しておきましょう。主に「現地調理方式」と「セントラルクッキング方式」の2つがあります。
現地調理方式は、施設内で調理をおこなうため新鮮な食事を提供できますが、適切な設備投資と現地調理人員分の委託費用が必要です。
セントラルキッチン方式は、委託先の給食会社の工場で効率的に多くの食事を調理することができます。現地に派遣される人員数が現地調理式に比べて少なくなるケースが多く、委託コストを抑えられる可能性が高いです。
調理方式を選択する際は、食事の質や施設の条件、予算などを総合的に考慮しなければなりません。
4.【まとめ】委託給食と直営給食の特徴や違いを理解して最適な選択をしよう
給食業務における「直営」と「委託」には、主に運営方法と管理体制に違いがあります。直営給食では施設が自ら給食業務の全工程を手掛ける一方で、委託給食は給食業務を専門の外部会社に依頼するという方法です。
委託給食と直営給食のそれぞれにメリット・デメリットがあり、施設の規模や人員数などの状況に合わせて最適な選択をすることが、給食業務の成功に繋がります。
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