
株式会社日本給食業経営総合研究所(日給研)の宮崎です。
近年の給食業界は、人件費上昇・食材価格高騰・物流費増加という三重苦とも言える状況の中で経営を続けています。
さらに2026年度、新たなリスクとして浮上しているのが中東情勢です。中東地域の緊張が高まることで原油価格が上昇し、それが給食現場で日常的に使用している様々な消耗品の価格に直結しています。
目次
中東情勢に伴う給食業経営への影響が広がっている
1-1 中東情勢が与える給食業への影響を考える
特に影響を受けやすいのが、ナフサ(粗製ガソリン)を原料として製造される石油化学製品です。
ナフサはプラスチックや合成ゴムの原料となるため、供給不安や価格高騰が起きると、
・使い捨て手袋 ・ゴミ袋
・ラップ ・容器シート
・検食用容器 ・包装資材
などが連鎖的に値上がりします。
食材の値上げは日々意識していても、消耗品の値上げは見落とされがちです。
しかし給食業は毎日大量の消耗品を使用する業態であり、1円、2円の値上げでも年間では数十万円から数百万円規模の利益圧迫につながるケースがあります。
そのため今後は食材原価だけでなく、消耗品原価の管理も重要な経営課題となっていくでしょう。
1-2 各消耗品別現状と給食現場での対策生事例
使い捨て手袋
給食現場で最も使用頻度が高い消耗品の一つが使い捨て手袋です。
衛生管理の観点から使用をやめることはできず、食材の下処理から盛付まで幅広い工程で使用されています。
日給研へ寄せられる相談の中でも、
「前回見積もりよりかなり高くなっている」「2倍の価格への値上げ通知が届いた」
という声が増えています。
価格が高くても購入できるうちはまだ対応できます。
しかし過去のコロナ禍でも経験したように、供給そのものが止まると現場運営に大きな支障が出ます。
特に給食事業は、「食のインフラとして止まることはできない」のが特徴です。
欠品が発生してから代替品を探しても、
・サイズが合わない
・異物混入リスクが高い
・作業効率が落ちる
・従業員から不満が出る などの問題が発生します。
今のうちにやるべきことは、既存商品が供給されている今だからこそ
・代替素材のサンプル確認
・現場テスト
・複数商社との取引検討
・緊急時調達ルートの確保 を進めておくべきです。
日給研でも別素材の手袋に関する相談が増えており、代替商品のご紹介も行っています。
ゴミ袋
普段であれば話題になりにくいごみ袋に関しても、安定供給への不安から対策を講じる企業が増えています。
ある企業では、「ゴミ袋が不足しています」という掲示だけでなく、
「1枚○円」「前年より○%上昇」まで見える化したところ使用量が減少しました。
従業員は価格を知らないため、知らせるだけでも実は効果があるのです。
外国人技能実習生や特定技能人材が増えている企業では、日本語だけの掲示では伝わらないケースがありますので、
・イラスト
・写真
・多言語表記 を活用することで現場全体の意識統一につながります。
容器内シート・ラップ
産業弁当や事業所給食では容器内にプラスチックシートを使用する企業がありますが、このシートも石油化学製品であるため、価格高騰の影響を受けています。
こちらの商品も企業によっては約2倍近くまで上昇したケースもあります。
一見すると廃止した方が良さそうですが、
・洗浄人件費
・洗剤代
・水道代
・管理工数 を考えると現状では使い続けた方が安いという判断が多く見られます。
値上げしたから=即廃止ではなく、総コストで判断することが重要です。
ラップも日常的に使用される代表的な消耗品です。
検食保存や食材保管など用途は多岐にわたります。
最近では、
・シリコン製蓋
・再利用可能容器
・密閉保存容器
などを導入し、ラップ使用量削減を進める企業も出てきています。
1-3 原価高騰時代に必要なのは「代替品リスト」
今回のような中東情勢に限らず、今後も世界情勢による供給不安は発生する可能性があります。
給食業界の皆様は食のインフラとしての意識が高く、止められない事業であることを強く意識されている企業様が多くいらっしゃるかと思います。
持続可能な経営体制のため「第二候補」「第三候補」を持っている企業ほど、いざというときの柔軟性や対応力が高くなります。
食材では代替品を準備している企業が多い一方、消耗品では準備不足の企業も少なくありません。
これからは消耗品もBCP(事業継続計画)の一部として考える必要があるのです。
コスト削減の唯一の兆し「お米」の各社の現状
2-1 お米平均価格の推移
ここまで値上げの話が続きましたが、給食業界にとって数少ない好材料もあります。
それがお米です。
昨年まで続いた米価格高騰に対し、現在は徐々に落ち着きを見せ始めています。
スーパー店頭価格でも特売が増え、「以前より安くなった」と感じる消費者も増えてきました。

給食会社にとって米は使用量が非常に多いため、わずかな単価差でも利益への影響は大きくなります。
食材・消耗品・人件費が上昇する中で、お米は原価改善の可能性を持つ数少ない食材と言えるでしょう。
2-2 お米で原価合理化を最大化する方法
上記の通り価格変動が起きているお米ですが、情勢をいち早く掴み原価合理化への道を探り切っておくことが給食業で黒字化出来ている企業のルールとなります。
合理化出来る要素が少ないからこそ、その少ないソリューションをやり切っておくことが分かれ道となっているのです。
日給研では会員向け米ルートもご紹介しています
日給研では会員企業様向けに、中米ブレンド 440円/kg~(税別・送料別)をご紹介可能なルートがございます。
※弊社会員価格となります。
現在のお取引価格との比較や見直し相談も承っております。
まとめ:これからの給食経営は「食材」だけでなく「消耗品管理」が利益を左右する
中東情勢による影響は、給食業界から遠い話のように見えて、実際には手袋やゴミ袋、ラップ、容器シートなど日常的に使用する資材へ波及しています。
これまでの原価管理は食材中心でしたが、今後は消耗品管理も重要な経営テーマとなるでしょう。
不足してから慌てるのではなく、
・代替品の確認
・複数仕入先の確保
・使用量の見直し
・原価分析
を進めることが、これからの安定経営につながります。日給研では代替手袋のご紹介や消耗品対策、お米の仕入れ相談なども承っております。お気軽にご相談ください!
最後までご覧いただきありがとうございました。



