株式会社日本給食業経営総合研究所(日給研)副代表・経営コンサルタントの井上 裕基です。
コロナ感染拡大は第7波を迎え、給食業界もコロナと共存した経営方針や現場体制はもとより、商品やサービスの在り方を見直す給食会社が増えてきました。コロナの影響を受け難い高齢者向け給食(個人宅向け配食サービス・介護施設向けパック給食)への参入や、在宅需要の増加に伴う惣菜・冷凍弁当事業の業態付加も、トレンドの一つです。しかし、やはり主に産業給食を展開されてきた給食会社にとっては、新規事業への意思決定は容易ではなく、いかにしてこの状況を乗り越えるか、悩みに悩んだ上半期だったと思います。そこで今回は、コロナ禍でも産業給食で過去最高食数を達成・更新した事例・給食会社についてお話いたします。
11年連続で食数増!この1年で700食純増させた給食会社
広島県福山市に株式会社ホーミイダイニング様という給食会社が在ります。
http://www.freshlunch39.co.jp/
主に事業所向けの弁当給食を展開される、給食業界における皆さまのお仲間です。同社では、営業時の契約率は70%を超え、このたった1年で5,300食であった食数が6,000食を達成されました。広島県でも同様にコロナの感染拡大は進み、思うように営業活動ができない状況があります。ではいかにして同社では、コロナ禍でも過去最高食数を更新することができたのでしょうか。それらを実現した「3つのポイント」を下記にて解説いたします。
①理念・想いを継承した組織力
営業や販促は、どうしても「やることが目的」になりがちです。同社では、それらはあくまで手段として、その基盤となる組織力を重要と考えています。まず会社の目標・ビジョンを明確にし、社員に理解してもらうことに注力されています。例えば、会社の理念や創業の想いを盛り込んだ社内向けの冊子を用意しています。上司と部下で面談する「1on1面談」を月1回行い、会社の目標や想いが共有する場を作っています。
②契約率70%を実現する商品力
コスト高に伴い、同社含め多くの給食会社が値上げをしました。改めてお客様自身が支払うコストに対して敏感になり、お弁当の内容とコスパを重視するようになります。
そこで営業担当者が自信を持って提案できる商品であることが営業手法やツール以上に重要であると捉え、毎日のお弁当を美味しくすることにこだわられました。可能な限り「手作り」のお惣菜や、特に人気メニューの「鶏のから揚げ」は生肉から一つずつ丁寧に揚げています。主菜はダブルメインになるように構成し、お客様満足度が上がるよう努められました。新規営業時、試食された企業様の契約率約70%の理由は、まずこれがベースとしてあるためです。
③働きやすい環境へ向けたDX化
弁当給食業界では見慣れた「朝鳴りやまない電話」風景ですが、多くの事務員を待機させることなく、お客様対応等やりがいのある業務に従事させることはできないかと考えていらっしゃいました。お客様にとっても電話が繋がりにくいストレスがあります。システムの導入と計画的なお客様へのご案内で、Web受注にほぼ100%移行することに成功し、朝の受注の時間帯には電話のならない静かな環境へと変えることも実現されています。
コロナ禍で業績を伸ばす給食会社が実践していること、いかがでしたでしょうか。
日給研では、来る10月・11月にホーミイダイニング様をゲストとしたセミナーを開催します。各ポイントの詳細な事例と解説が聞けるまたとない機会ですので、2023年を闘うための情報の仕入れに是非ご活用いただければ幸いです。