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【給食経営】コロナを好機として業績を伸ばした日配弁当給食会社

井上 裕基

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井上 裕基

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事業所向け弁当

いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。日本給食業経営総合研究所 給食業経営コンサルタントの井上です。

2021年も給食業界に貢献できる情報発信に努めますので、どうぞよろしくお願いします。

2021年コロナでも業績を伸ばす給食会社の共通点

価格競争による利益率や食数減少による配送効率悪化に加え、コロナは給食業界へ大きな影響を与えました。2021年も給食業はコロナをベースとした経営が必須とされ、変化することが求められています。その変化を恐れず、業績を伸ばしている給食会社が一体何を実践しているのか振り返ってみます。

群馬県安中市に、株式会社若松屋様という給食会社があります。1988年に地域の精肉店・惣菜店として創業し、現在は1種類の弁当で日配7,000食の実績です。地域密着した給食業は全国各地にありますが、コロナ禍でも年商6億円・営業利益7,000万円と高収益な同社が実践していることは何なのでしょうか。

重要視している弁当一本化の真意

多くの給食業においてあることですが、仕出し・イベント・朝食夕食等お客様のニーズに応えるうちに種類も豊富になっていきます。同社では、元から産業弁当に関して、1日に複数種類を作ることなく1種類にこだわり抜いていました。いわゆるレディース弁当や麺類等ご要望頂くこともあったようですが、こだわり抜くことを続けています。

同様に葬儀仕出し等、売上は大きいが注文の予測が立ちにくい仕事に関して、日々の生産量が予測しやすい産業弁当に重きを置きたいと思うようになったことも背景にあります。高い生産性のために常に効率等を考え、行動する指標があることもポイントです。徐々に各事業を切り離し、最終的に企業向け昼食弁当への一本化に繋げていきました。

コロナ禍で取り組み始めた営業手法

2年前までは訪問営業のみの同社でしたが、ここ1年で WEBやダイレクトマーケティングの整備をされました。直近では創業以来行っていなかった顧客アンケートの実施、残食チェック等商品改良を意識されています。1商品しかないお弁当から目を背けずに、商品と向き合うことの大切さを認識されていることがポイントです。

離脱対策としては、守りを固める時期を長期間設けた(HP 制作に終わらず日々の更新・お弁当の容器変更など)この改革がお客様の反響を呼んでいます。現在離脱は減っており、月間の離脱は20~30食と1%以下となっていました。

同社でも実質6月までは影響があり、最大で月商前年比 △15%程まで落ち込むこともありました。コロナ禍でお客様へのフォローを減らすことはありませんでしたが、日々配達員への指導や挨拶、声かけ徹底の積み重ねがフォローに繋がっています。対策については、一般的な衛生対策・HP への掲示等やるべきことをしっかりやり切られています。新規営業に関しては、コロナウイルスの影響で10月から再開し、ダイレクトマーケティング×訪問営業で月+100食を継続しており、また外部セミナーへ社員を積極的に参加させることでコロナ禍でも社員のモチベーションアップを図ることに努められています。

コロナ禍で影響を受けたことは事実ですが、これまでの取り組みが今活きていることは確かです。同社ではこれに甘んじず、よりお客様から喜ばれる機会を増やしたい想いで、まずは売上10億円を目指されています。

2021年に給食業経営者へ求められること

若松屋様のモデル事例の一方で、このままコロナ禍の流れのままでは衰退を辿ります。そして変化・適応した企業に淘汰されてしまうことも事実です。若松屋様の事例を踏まえ、給食業経営者が取り組まなければならないことは以下となります。

①販売促進の実施

温度感の高い見込み客を集める「PULL型」の WEBマーケティングや、こちらからアプローチをかける「PUSH型」の FAXDM・テレアポ営業をベースにどこよりも早く、どこよりも多く的確な販促を実施することです。結果として、やった給食会社がやらなかった給食会社から食数シェアを獲った形となっているのが実態です。

②コロナ対応の販促営業手法を強化

コロナ禍での切り口を持って販促や営業を実施することがポイントです。これまでの飛び込み営業に始まる古いやり方では、一切通用しなくなりました。

③社内コミュニケーションの頻度アップ

コロナ禍では、社員のモチベーションが下がる傾向にあり、離職も多くの企業でありました。人材流出は大きな損害であり、リアルが避けられる今、Zoomや LINE、チャットワークを活用したコミュニケーションも重要です。

④シニア・委託給食・OEMへの着手

成長市場へ今からでも着手することが重要です。高齢者向け、施設向けの配食は勿論ですが、委託給食市場の拡大に伴う地場系給食会社の台頭が顕著です。また工場の生産性アップに向けて、OEM事業も好調に推移しています。

⑤衛生管理・クライシスマネジメントの徹底

HACCP義務化、コロナ対策とやるべきことへの理解と実践が急務です。また昨今続く給食会社の事故対応(クライシスマネジメント)の徹底で、会社存続のための施策を理解しておきましょう。

見誤っていけないことは、コロナはきっかけであり、元からの課題問題が加速したということです。

給食業は食のインフラとして価値高い、そして誇り高い事業であるということを忘れずに、2021年戦い抜く戦略戦術を皆さまには熟考・実践されますことを心より願っています。

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この記事を書いた人

井上 裕基

井上 裕基

日本で唯一の給食業専門総合コンサルティング会社でNo.2 を務める。 大手乳製品乳酸菌飲料ヤクルトの販売会社、東証プライム上場 国内コンサルティングファームの船井総合研究所で給食業界の経営コンサルタントを経て独立し現職に至る。 全国に給食会社の顧問先を持ち、専門領域は産業給食/事業所給食/委託給食/介護施設給食/病院給食/配食サービスと給食業全般をカバーする。基本の業績アップから商品開発・新規事業の立ち上げ等、給食会社の成長戦略や戦術構築に加え、病院・介護施設の給食部門に対する業務改善や経営指導を行う実績も保有する。

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