「クックチルとニュークックチルってどんな違いがあるの?」と疑問に思ったことはありませんか?どちらも注目度の高い新調理方式ですが、導入を考えているのであればそれぞれの違いや共通点を理解しておく必要があります。
そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。
- クックチルとニュークックチルの概要
- クックチルとニュークックチルの違い
- クックチルとニュークックチルに共通点はある?
この記事を読むことで、クックチルとニュークックチルの違いを理解し、どちらを導入すべきか理解することができます。施設の調理方式にお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.クックチルとニュークックチルは注目度の高い新調理方式
まずは、クックチルとニュークックチルの概要をご紹介していきます。
1-1.クックチルとは?
クックチルは、調理の効率化と食の安全性を両立する革新的な調理システムです。
まず、調理後90分以内に中心温度を3℃以下まで急速冷却することで、細菌の繁殖を抑えることができます。これにより、通常の調理日を含めて5日間の期間、衛生的かつ美味しい状態で食事を保存できるのが大きな特徴です。
提供時には、湯煎やスチームコンベクションなどを使って再加熱するだけで盛り付けができ、当日の調理作業を大幅に簡略化できます。
さらに、必要な食事数に基づいた計画的な生産が可能なため、大量調理の現場でも広く採用されています。
関連記事:クックチルシステムとは?調理の流れや給食におけるメリット・デメリット
1-2.ニュークックチルとは?
ニュークックチルは、従来のクックチル方式をより発展させた調理システムです。ニュークックチルでは、冷却された状態の惣菜を盛付後、再加熱カートなどの機械で保管し、提供前に再加熱をおこないます。
クックチルと比較して、時間があるときに盛付をおこなうことができる点が異なる部分になります。
2.クックチルとニュークックチルの違い
では、クックチルとニュークックチルには具体的にどのような違いがあるのでしょうか。以下5つの視点から両方式の違いを解説していきます。
- メリットとデメリット
- 調理の流れ
- 盛り付け
- 食事の提供スピード
- 食事の提供にかかる労力
一つずつ解説していきます。
2-1.違い①メリットとデメリット
クックチルとニュークックチルのメリット・デメリットの違いについて、以下の表にまとめました。
調理方式 | メリット | デメリット |
クックチル | ・食品の衛生面が向上しHACCPにも対応できる ・調理専門スタッフがいなくても食事を提供できる ・マニュアル化により常に同じ品質の食事を提供できる |
・保管場所を確保する必要がある ・メニューがマンネリ化する可能性がある |
ニュークックチル | ・クックチル同様のメリットを持っている ・チルド状態で事前に盛り付けて保管できるため、再加熱のみで素早く提供可能 ・クックチルよりもさらに調理スタッフの負担が軽減される |
・クックチル同様のデメリットを持っている ・専用の再加熱機器が必要となるため、初期投資がかかる ・従来の調理方式と比べて省スペース化が難しい |
上記の表からもわかるように、ニュークックチルはクックチルが持つメリットとデメリットのどちらも持っています。そのうえで、さらにニュークックチル独自のメリットとデメリットがあることを理解しておきましょう。
2-2.違い②調理の流れ
クックチルとニュークックチルの最大の違いは、調理の流れです。以下の表で、それぞれの調理の流れを比較します。どちらも外部のセントラルキッチンから仕入れをした場合となります。
クックチル | ニュークックチル | |
外部セントラルキッチン | 食材を加熱調理 | |
調理された食材を急速冷凍 | ||
配送 | ||
施設での調理 | チルドにより保存 | |
盛り付け・カート冷却保存 | ||
施設にて再加熱 | ||
盛り付け | ||
給食利用者へ提供 |
クックチルは施設にて再加熱後に盛り付けがおこなわれるのに対し、ニュークックチルは盛り付けられた状態で再加熱するため、そのまま提供することが可能です。
2-3.違い③盛り付け
前述もしたように、クックチルでは、チルド保管した食品を提供時に再加熱してから盛り付けます。一方、ニュークックチルは冷却された食品をピークタイムを避けた時間で事前に盛付け、保管が出来るため、提供前の盛り付けは不要です。
2-4.違い④提供直前の準備と食事の提供スピード
クックチルは提供前に再加熱後に盛り付けが必要なため、提供までにある程度の時間がかかります。一方、ニュークックチルはチルド状態のものを再加熱後にすぐ提供できるため、素早い提供が可能です。
2-5.違い⑤食事の提供にかかる労力
クックチルとニュークックチルともに、食事の提供に労力を必要としない点が大きな魅力です。
ですがクックチルでは、再加熱後に盛り付けが必要なため、ニュークックチルと比較すると限られた時間での作業で人数が必要になる点と、時間に追われるという心理的な面で調理スタッフの負担が大きくなります。
3.クックチルとニュークックチルに共通点とは?
クックチルとニュークックチルの違いだけでなく、共通点についてもご紹介していきます。両方式の共通点として、以下の5つが挙げられます。
- 食事の衛生が保たれる
- 調理の時間短縮につながる
- 味のばらつきを減らせる
- 調理から2時間以内の喫食を実現できる
- 人手不足の解消につながる
一つずつ見ていきましょう。
3-1.食事の衛生が保たれる
クックチルとニュークックチルは、ともに調理後の食品を急速冷却し、低温で衛生的に保管することで、食事の安全性を高めています。
両方式ともに細菌の繁殖を効果的に抑制できるため、通常の調理日を含めて5日間程度、安全で美味しい状態の食事を提供できるのが大きな特徴です。
3-2.調理の時間短縮につながる
クックチルとニュークックチルともに、調理にかかる時間を大幅に短縮できます。
クックサーブ(従来の調理方式)では、施設で調理がおこなわれるため、食事の提供に時間がかかるのが課題でした。一方新方式であるクックチルとニュークックチルでは、調理工程を簡略化し効率的に食事を提供できるようになったのです。
3-3.味のばらつきを減らせる
クックチルとニュークックチルでは、外部のセントラルキッチンから食事を仕入れるケースが多く工場では大量調理レシピが標準化されているケースが多いです。
また、施設での作業を加熱・盛付のみと最小限に減らしたことでマニュアル化がしやすく、調理担当者の技量に左右されることなく、一定の品質と味の均一性を維持することが可能です。
3-4.調理から2時間以内の喫食を実現できる
クックチルとニュークックチル方式では、急速冷却と再加熱の仕組みを活用することで、食事の提供タイミングを柔軟に設定できます。このため、調理後2時間以内の喫食を実現できるのが特徴です。
関連記事:喫食とは?喫食の重要性や喫食率を引き上げる方法を徹底解説
3-5.人手不足の解消につながる
クックチルとニュークックチルは、いずれも調理作業が合理的なため、調理スタッフの人手不足も解消されやすくなります。高度な調理技術を求める必要がなくなり、調理を行ったことがない男性でもマニュアルを元に食事提供準備が可能になります。
4.食事の提供数が多い施設はニュークックチルのほうが向いている
食事の提供数が多い施設であれば、ニュークックチルのほうが適しているといえます。
ニュークックチルでは事前に盛り付けられた状態でチルド保存できるため、食事提供直前の盛り付けが不要です。たとえば朝食を提供するときも、前日に準備しておくことで早朝出勤の人数を抑えられます。
ニュークックチルは、人手不足が課題となる医療施設や福祉施設にとって柔軟な人員配置を可能にする調理システムです。
また従来の調理方式では、大量の食事を盛り付ける間に料理が冷めてしまうという問題がありました。ニュークックチルでは施設で再加熱するのみで提供できるため、食事数が多くても温かい状態の料理を提供できます。
よって食事提供数の多い医療・福祉施設では、ニュークックチルのメリットが最大限に発揮されるといえます。
5.まとめ
クックチルとニュークックチルには、以下の要素で違いがあります。
- メリットとデメリット
- 調理の流れ
- 盛り付け
- 食事の提供スピード
- 食事の提供にかかる労力
一番大きな違いは、盛り付けのタイミングです。クックチルは施設などで食事を提供する前に盛り付けられるのに対し、ニュークックチルはチルド保存前に盛り付けがおこなわれるため、施設で盛り付ける必要はありません。
より効率的に食事を提供できるニュークックチルですが、初期投資が必要だったり、省スペース化が難しかったりといったデメリットもあります。「施設に新調理方式を導入したい」「調理方式を見直したい」とお考えの方は、それぞれの違いをよく理解しておきましょう。
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