株式会社日本給食業経営総合研究所(日給研)副代表の井上裕基です。
2024年4月20日、東京新橋にて当社主催の給食経営学会が開催されました。2024年4月1日の前回コラムでもご紹介した埼玉県・株式会社ロワールの四ツ井社長に「厳しい給食業界の外部環境の中で業績を伸ばす給食業展開方法」についてご講演を頂きました。今回は、当日に私がお話した内容をポイント絞ってご紹介したいと思います。
参考)給食業界のNo.1「TikToker」をご存知ですか??
価値が上がらなければ価格は上がらない。
例えば、売上を構成するものを以下に定義します。
【売上=客数×客単価×購買頻度】
これは給食業の売上の公式として最も一般的な考え方ですが、給食会社の経営者様は「客数」を増やすことが得意で、そのために奔走されてきた背景があると認識しています。同時に、給食業は基本毎日利用することから「購買頻度」を気にすることは少なかったでしょう。さて、本題は「客単価」です。この客単価にお悩みを抱えていたり、不満を漏らす方は本当に多いですが、この課題にメスを入れた事例は非常に少ないのが実態です。単価が上がらない背景に、我々が提供する価値をお客様に価値と思ってもらえていないことが大きな問題です。私は、この客単価を「価値と表裏一体の関係」であると考えています。
給食業の価値を上げる方法
当然簡単ではありませんが、価値を上げれば(価値を価値と理解してもらえれば)価格を上げられることは理解できます。そのために日給研が取り組んでいる施策例は以下の通りです。
【①ビジネスモデルのブラッシュアップ】
アップセル提案(例:高単価特別弁当の企画販売、スマートミールを一例とした「上」のプラン)
【②設定価格の見直し(改善)】
1~2食でも昔からの価格で据え置いているケース、無償サービス品の継続、有って無いような定価という概念、といった業界特有の常識を一掃させること。
【③ネガティブな固定概念の打破」
「どうせウチなんて」「給食会社じゃ絶対できない」といった先入観や低い自己評価、潜在的なネガティブイメージを少しずつでも薄めていくこと。
手法論として割り切って推進できる①②に対して、私は特に③が根本的に改善すべきものだと思っています。
それらを改善するために、
・提供する価値を定義し、それを基準に価格を決める
・仲間や仕入れ先が幸せになるかを判断軸にしよう
・市場・相場をもう一回我々で創り上げる
「他に比べるとちょっと高い方が…良さそう!」と例えば言われるようになることがポイントです。
業績を伸ばす手法論を突き詰めることも大事な一方、今必要なことは業界認知と価値を上げる取り組みということは言うまでもありません。この記事をお読みになられている皆さまと一緒に、給食業界を盛り上げる活動をこれからも一層努めて参りたいと思います。ご高覧頂き、ありがとうございました。