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【介護施設向け】給食会社・配食の選び方【コロナ対応保存版】

井上 裕基

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井上 裕基

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完全調理済惣菜

日本給食業経営総合研究所 給食業経営コンサルタントの井上です。

今回は介護施設向けに、介護食・給食の外部委託や仕入れについて給食会社を選ぶポイントについて解説いたします。

給食会社は何をしてくれる会社なのか?

給食会社というと、皆さまは一体どのようなイメージを持たれるでしょうか。給食の範囲を説明すると、学校給食や弁当給食といった身近な業態は勿論ですが、実は厨房委託や袋詰めパック惣菜といった介護施設向けのお食事も専門としています。本コラムでは触れませんが、それ以外にも社員食堂・個人宅配食と老若男女に関連する食のトータルサポーターなのが、給食会社というわけです。

一般的に給食業とは、「日替わりで大量に低価格で製造を可能とする」食品製造業です。単品の献立を毎日大量製造するメーカーはイメージし易いと想いますが、この「日替わり」という要素で、大量製造するノウハウは給食業の大きな特徴であり強みです。自前で給食を調理提供される介護施設でも、日替わりで調理することの意義や大変さは理解の多い部分ですが、それらを安心安全のもとで生業にする給食業の価値を知っていただくことで介護施設経営もまた変化が生まれます。

給食会社が介護施設に価値提供できること

概要として、今現在介護施設は経営課題を多く抱えています。その中に、給食の話題が挙がらないないことはありません。日本給食業経営総合研究所でも今年特にご相談を多くいただいた内容の1つが、まさに介護施設給食でした。とりわけ顕著なお悩みは、人手不足・経費削減・業務改善・マニュアル整備・人材採用といったところです。しかし突き詰めていくと、今後人材不足が進めば、働きやすい環境無しに人が簡単に採れる時代は来ることはありません。つまり働く環境や業務自体の見直し無しに改革は有り得ないと私も強調してお話しています。

そのうえで給食会社は給食のプロフェッショナルです。仕入れに始まり、仕込みから冷却までの調理は当然ながら、綺麗に盛り付けるノウハウもあります。介護施設にとっては給食会社はシンプルに食事を作ってくれる会社のイメージしかないかもしれませんが、食に関連するすべての知見・ノウハウを持っていることを再認識いただければ見え方も変わってくるでしょう。

例えば調理の仕方1つとっても、小規模の施設では飲食店のように提供することも有りでしょう。しかし規模が大きくなればなるほど、調理体制もそれに沿った組み立てが必要になり、仕組が必要になります。厨房のスチコンや冷却器、正しく使用することはできていますか?鍋を振ったほうが早いと言って、これまでの属人的体質から脱却できていない介護施設はまだ多くいます。施設経営の根幹に物申すつもりはありませんが、給食という名のもとに、正しく利用者へ提供することは給食部門の責務であります。ルールを守り、正しく美味しい、そして楽しい食事提供をすることが求められていることを改めて見つめなおすタイミングなのだと想います。

完調品・半調理済み食材の導入事例は右肩上がり

給食会社が介護施設に提供するサービスで昨今一気に増えてきたのが、介護施設向けパック給食といわれる完調品や半調理済み食材の導入です。これは冷蔵または冷凍温度帯で納品される食材を10分程度湯煎し盛り付けるだけで食事が完成するものです。既に導入されている介護施設も多いですが、これを導入することで得られるメリットを解説します。

① 人件費の削減

⇒重大な問題として、課題を抱える介護施設の給食部門には正職員比率が高い傾向が見られます。つまり人件費が高いということです。これは皮肉にも給食部門のメンバーとして採用しただけでなく、元々は介護職員であったが人材不足でヘルプに行きそのままの流れでずっといるケースも散見されます。ここで表されるように、人件費の削減は正職員比率を下げない限り実現は有り得ません。パートアルバイトでも十分に回せるような環境に改革できなければ、この問題は永遠についてまわります。湯煎だけで食事が完成するこのモデルは、前述の問題をクリアすることは容易であると考えられます。

② 設備投資なし

⇒まず比較的規模の大きい介護施設では、しっかりと厨房に設備投資されています。しかしそのメンテナンスや修繕費、新規購入と予測しない経費は多く発生するのが給食部門です。あまり複雑なことを考えたくない介護施設経営者の中では、湯煎できる設備と盛り付けるスペースや台、そしてストックするための冷凍冷蔵庫といったシンプルな構成が選ばれている要因の1つです。また新規開設の場合には、また新たに設備投資の構想を練る必要がなくなります。そのスペースを最小限にすることで、介護施設自体のスペースに充てることが可能となるわけです。

③ 安定した食事提供

⇒Aさんが作る日は美味しい、Bさんが作る日は味が濃いなどと毎日食事のばらつきは介護施設経営のネガティブな要素になりがちです。勿論美味しいが続くことが介護施設の価値を高めることとなります。その中で、給食会社への製造委託で均一化された食事を提供することが可能になるわけです。それらは給食会社自体がしっかりと仕組化された製造工程を以って、毎日の業務にあたっていることに起因します。

④ 衛生面の担保

⇒介護施設での給食だからこそ、衛生面の担保は一層注意すべきです。現地調理するメリットが大きく取り上げられがちですが、洗浄や加熱不足に始まるデメリットを限りなく減らすことが介護施設経営では求められます。今回のパック給食では、加熱後の急速冷却といったクックチル製法などの菌繁殖抑制に努めている方法を多くの給食会社では導入しています。食事の満足度に見えにくい衛生面の担保はこういった給食会社との連携で強化できることをご認識ください。

⑤ 手間削減

⇒前述の人件費削減と重複する部分ですが、業務棚卸をすると、かなりの時間や手間を要する部分は「仕込み」と「洗浄」です。日本給食業経営総合研究所のとある調査業務のなかで、仕込みという業務を分解してみると、「準備20%」「仕込み60%」「移動10%」に分けられることが分かっています。この数字が何を示しているかと言えば、仕込み時間の内、実際に仕込んでいる時間はその内の60%でありそれ以外は別業務または移動しているという意味合いです。つまり、仕込みを無くすことのインパクトは余計な時間を削ぐことだけでなく、その時間自体を別工程に充てることが可能となるわけです。今回で言えば、仕込み部分そのままなくなるのが、このパック給食の導入メリットと言えるでしょう。

味が美味しくなるといった十人十色で表現しにくい価値は好みによって変わりますが、そもそも給食会社自体を選択肢の1つに入れるという価値自体は大きいものがあります。介護施設の給食経営においては、数字に表れるものからまずは判断基準を持っていただくことをお勧めしています。

給食会社を選ぶ際に見るべきポイント

それでは実際に数ある給食会社を選ぶ際に見るべきポイントはどこなのかを解説します。

① 衛生

⇒義務化となったHACCPを取り入れた衛生管理が出来ているか、またそれらをしっかりと発信しているか。過去の事故がなければよりベターですが、それよりもその時の対応や意向の企業努力がなされているかどうかが最も大事です。確認する方法については、それぞれの施設へ管理手法のもと、それらの帳票や工場見学が可能かどうか聞いてみることも良いでしょう。

※コラムリンク:【食中毒・感染症】給食会社が押さえるべきリスク管理の考え方

また調理法も大きく関わります。衛生努力のため、クックチル製法といった菌繁殖を抑制させた調理法を導入しているかどうか、そしてその基準を守られているかどうかもポイントです。判断する材料の1つになりますので、ご確認ください。

② 商品力

⇒日本給食業経営総合研究所では、「商品力=価値 / 価格」で表現します。そのなかで分解すると、量(g数)・質(惣菜の色合い・デザート有無)・幅(調理法・和洋中頻度)・数(おかず品目数)へ分類し比較することが効果的でありそれらの数値が業界標準値よりも上回っているかどうかを見極めていただいています。価格もポイントですが、業界では800円周辺が相場となっており、そのなかで商品力指標をものさしに、優劣をご判断いただいています。

③ 個別対応

⇒普通食・ムース食・備蓄保存食、このあたりをまず漏れなく対応してくれるかどうかがポイントです。プラスアルファで、刻み食やユニバーサルデザインフード規格に対応した商品の取り扱いといったところは加点ポイントです。全て給食会社にて製造販売しているかどうかはポイントではなく、一部仕入れ商品でも問題ありません。介護施設にとってはどの商品も取引のある給食会社に1社信頼して任せられるかどうかを見極めていただきたいところです。

またここで強調したいこととしては、給食会社が何でもやってくれるのは大間違いであり、介護施設の給食部門内でやるべきこととそうでないことの区別が大事ということです。

④ 融通性

⇒製造元や販売者、ラストワンマイルが介護施設の地元や近隣エリアであることが最も望ましいです。特に通所・デイサービスや人数の変更が起こりやすい施設は、地場の給食会社に依頼することで比較的ストレスが軽減されます。物理的にも、仕組的にも地域密着の給食業であれば、融通性は高いことが見込まれます。

⑤ トータルコーディネート

⇒本コラムではパック給食の話題を例として取り上げましたが、パック給食だけでなく給食業が持てる力を満遍なく借りることも効果的です。例えば、食材の仕入れや献立の購入など、給食会社と連携して介護施設自体の経営を見直す事例も増えてきています。特別な日に職員や利用者様向けの仕出し弁当やオードブル、行事食を提供可能なのも給食業の強みです。もっと身近な話で言えば、お米も良くご相談に乗るケースがあります。これらに柔軟に対応できるかどうかを見ていくことも宜しいかと想います。

⑥ 行事食

⇒介護施設のお食事では味や栄養バランスは勿論、飽きのこない構成が求められます。その際に見た目でも楽しめる構成は必須なものです。そこで給食会社が提案する行事食を確認してみてください。自前、委託かかわらず、昨今介護施設の行事食に力を注ぐ給食会社は年々増えています。まず有無、そして内容から選定基準に加えてみてみましょう。

⑦ お客様の声(利用者アンケート)

⇒給食会社からの情報に、お客様の声があるかどうかがポイントです。また給食会社かた介護施設への定期アンケートなどで、商品力改善の創意工夫が見られるかどうかを判断できます。給食会社にとって、お客様は介護施設となりますので、介護施設経営者・施設長・栄養士あたりの声の有無、内容をしっかりと確認してみていただきたいところです。

⑧ ホームページ

⇒自社の顔となるホームページですが、有無に加えて更新頻度やその内容を確認いただきたいところです。更新頻度は、給食会社の熱意を表すバロメーターとなります。

まずは相談してみることから始めよう

本コラムでは、介護施設にとって給食会社を適切に選ぶポイントを解説しました。そのうえでまずは、お困りごとを相談してみることから始めてみましょう。全国には給食会社がおり、その中で最善のご提案をしてくれます。また日本給食業経営総合研究所でも、介護施設への給食会社ご紹介を無料でしていますので、ご要望があればご連絡をいただければと思います。

今後の介護施設経営にとって、給食部門の改革が良い流れをつくる機会となることを確信しています。ぜひ皆さまも明日から1つ改革を実行してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

井上 裕基

井上 裕基

日本で唯一の給食業専門総合コンサルティング会社でNo.2 を務める。 大手乳製品乳酸菌飲料ヤクルトの販売会社、東証プライム上場 国内コンサルティングファームの船井総合研究所で給食業界の経営コンサルタントを経て独立し現職に至る。 全国に給食会社の顧問先を持ち、専門領域は産業給食/事業所給食/委託給食/介護施設給食/病院給食/配食サービスと給食業全般をカバーする。基本の業績アップから商品開発・新規事業の立ち上げ等、給食会社の成長戦略や戦術構築に加え、病院・介護施設の給食部門に対する業務改善や経営指導を行う実績も保有する。

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