株式会社日本給食業経営総合研究所(日給研)副代表の井上裕基です。
2024年8月24日(土)東京新橋にて、当社主催の給食経営学会8月例会が開催されました。今回は、予てより私自身が特に取り上げたく熱望していた「給食会社の社長の右腕(No.2)」をテーマとしました。取り組む業態や企業規模によって状況は変わりますが、業績を伸ばしている給食会社の特徴には、社長の右腕が居て、何も言わなくても業績を伸ばしてくれていることが挙げられます。
今回は、日給研の同じくNo.2として、給食業のNo.2や後継者、右腕や幹部様向けにレポートを書かせて頂きます。
給食会社に「COO」は必要なのか?
一般的に、社長の右腕は最高執行責任者(COO)と呼ばれることもありますが、そんな良いものでもなく、実際は最前線に陣取り、部隊を指揮しながら自らも戦場に飛び込み目的達成させる泥臭い面が多いです。社長と経営戦略を練るのは勿論、業績のため新規顧客開拓・契約更新や値上げ時の個別訪問・クレーム対応・営業所運営・採用面接、人員不足時には代配することもしばしば。
その背景には、食数・売上・利益と、とにかく数字を上げるんだという強い気持ちを持つ者が就くケースが多いように見受けられます。だからこそ、そのために必要なことは何でもやる精神状態な方が多い印象です。ここまでを見ると、社長としては「何も言わなくても業績を伸ばしてくれるありがたい人」と思うのではないでしょうか。
では、一体何故No.2はそのマインドで仕事に臨むことができているのでしょうか?
会社のために・社長のためにが原動力
多くのNo.2は、業績を上げることが認められる方法であると認識しています。そしてそれにより、自分自身が生きている実感を持てると言います。
ただそれは根幹に、自分がついて行くと決めた「社長のため」であることも事実です。なぜならば、前述の通り、No.2の仕事はとにかく何でもやって(時に無茶振りされて)、数字に責任を持つ大変な役割です。その状況をむしろ楽しめるなんて、それ以外の理由はなかなか考えられません。それでも、社長の言っていることが理解できなかったり、納得できないことが多々起きます。
それは社長とNo.2の立場と視点が全く違うからであり、それをある程度でも理解し咀嚼できれば少し気持ちが楽になるでしょう。社長の右腕の役割が「目の前の業績へのコミット」ならば社長の役割は「未来の会社の在り方を描くこと」です。つまり、社長が「こうしたい」と語る構想を右腕が潰すことは会社の未来を失くすことになります。そうなると、給食会社のNo.2に必要なことはやはり「素直さ」であるわけです。「まずはやってみましょう!」と言えるかどうか、取り組めるかどうかが大事ですね。
もっとも、これは私自身自戒を込めて書いています(笑)
給食業における社長との向き合い方
「早く〇〇に社長やってもらいたい」と、社長からなんとなく話をされた時、複雑な気持ちになります。期待される、頼りにされる嬉しさと同時に、ともに仕事ができなくなることへの寂しさでしょうか。それを社長自身が求めていないことも理解できる分、複雑な感情になるのだと解釈しています。これは社長とNo.2の思考に根本的な違いがあるからです。
つまり、100%相互理解は困難です。役割を果たせば果たすほど、ギャップは大きくなる。しかし、それが本来の形であるとブレずに信じることが大事です。
またシンプルに相互に考えていることを理解しているか否かは、非常に重要なポイントです。社長とNo.2のコミュニケーションが難しいとされるのは、実はNo.2が素直になれないから。最も社長とコミュニケーションを取るべきなのは、私たちNo.2であるのです。企業は99.9%社長で決まりますが、それをポジティブに推移させる要因がNo.2に在ることに誇りを持ちたいですね。